春芳

Fragrance of Spring

上村松園

作品解説
『春芳』は1940年に描かれた上村松園の作品です。1875年京都に生まれた上村松園は、20歳の頃から京都画壇の中心人物・竹内栖鳳らに学び独自の美人画様式を確立した画家です。15歳の時すでに第3回内国勧業博覧会に出品した「四季美人図」が英国皇太子コンノート殿下に買上げられ、天才少女と世間から注目されていました。1948年には女性として初の文化勲章も受賞しています。しかし上村松園の生きた時代は女性は嫁に行き家を守ることが美徳とされ、また母子家庭で育った松園にとって女流画家として生きるのは実に困難なことでした。それでも松園は西洋化の波に圧されず日本の伝統的な美人画を描き続けました。『春芳』はそんな松園の代表作の一つです。凛とした強さを持ちながら奥ゆかしさも持ち合わせる女性は松園が描く美人画の特徴です。
制作年
1940年
素材/技法
絹本着色
制作場所
京都
所蔵美術館