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上村松園

作品解説
1944年の『静』は源義経の側室であった京の白拍子・静を描いています。静は吉野に落ちた義経と別れて京都に帰る途路で捕えられて鎌倉に送られます。鶴岡八幡宮で、歌舞を披露するよう源頼朝に求められると、「静や静」と義経を恋う舞を舞ってみせたと言われています。その場面を描いた作品ですが、この作品に限らず松園の作品はしばしば自身の精神を映した自画像であるといわれ、明治の女性として男性と並びながら大成するための苦難に耐えた松園とこの作品の静の強さと厳しさが重なります。華やかな色彩に彩られながらも、凛とした美しさと強さを兼ね備えた女性は松園の得意とする女性像です。
制作年
1944年
素材/技法
絹本彩色
制作場所
京都