曾我蕭白
Shohaku Soga
1730年-1781年
国籍
日本
アーティスト解説
曾我蕭白は卓抜な技法と奇怪な画風で知られる、江戸時代中期の異色画家です。蕭白の詳しい系譜や画歴は、よく分かっていません。高田敬輔や望月玉蟾に師事したという説や雲谷派に学んだという説があり、蕭白自身は室町時代の画家曾我蛇足の画系に属すると自称しています。また生涯の中頃には、伊勢や播磨に滞在したという記録が残っています。旅芸人のごとく遊歴しながら絵を描き、行きずりの他人の家や寺社に転がり込んで、生活の世話になりながら絵を描いていたようです。蕭白の特徴は、部分の細密で精確な描写能力と、対象の躍動感の的確かつ大胆な把握にあります。大胆な空間把握の構図、独創的な彩色は、画面に強烈な不安定さを生み出し、見る者に衝撃を与えます。仙人、唐獅子、中国の故事など伝統的な画題を選び、正統的な水墨画技法で描きながら、醜悪で剽軽な姿に描き出すなど型破りで破天荒な表現をし、江戸時代の画史ですでに「異端」「狂気」の画家と位置付けられていました。当時の一般民衆の間で蕭白の作品は人気が高く、蕭白自身は同時代の円山応挙をライバルとして意識していたらしい逸話が残っています。時代を下り明治期には、蕭白は人々から忘れ去られて多くの作品が失われたり破損したりしていましたが、アメリカの日本美術研究家ウィリアム・スタージス・ビゲローによって、多くがボストン美術館に持ち込まれることになりました。現在はボストン美術館が、最大の蕭白コレクションを所有しています。
経歴
1730年 京都に生まれる。
1759年 この頃伊勢地方に滞在し、黒田村の浄光寺内陣に「十六羅漢」「葡萄」の図を描いたと伝えられる。
1764年 この頃二度目の伊勢滞在、「群仙図」「旧永島家襖絵」などの代表作を制作したと伝えられる。
1781年 逝去。