緑響く

Echoes to the green

東山魁夷

作品解説
「緑響く」は東山魁夷の代表作のひとつで、信州・八ヶ岳の「御射鹿池(みしゃかいけ)」がモチーフとなっています。液晶テレビのCMにも登場して話題となりました。魁夷は、四季の変化が美しく自然の地形の変化に富んだ長野県を創作のインスピレーションを与えてくれる場として愛し、「作品を育ててくれた故郷」と呼びました。東京美術学校1年生の夏休みに初めて信州の自然と人に出会って以来、長野県に取材した風景画を数多く制作しています。この作品を制作した際のインスピレーションを、魁夷は次のように語っています。『一頭の白い馬が緑の樹々に覆われた山裾の池畔に現れ、画面を右から左へと歩いて消え去った――そんな空想が私の心のなかに浮かびました。私はその時、なんとなくモーツアルトのピアノ協奏曲の第二楽章の旋律が響いているのを感じました。おだやかで、ひかえ目がちな主題がまず、ピアノの独奏で奏でられ、深い底から立ち昇る嘆きとも祈りとも感じられるオーケストラの調べが慰めるかのようにそれに答えます。白い馬はピアノの旋律で、木々の繁る背景はオーケストラです。』
制作年
1982年
素材/技法
紙本彩色
制作場所
日本
所蔵美術館
    長野県信濃美術館
    東山魁夷館
ジャンル