華狩頌板壁画

In Praise of Flower Hunting

棟方志功

作品解説
棟方志功の代表作のひとつで、日展に初出品するために制作された、14枚もの版木を使った大作です。棟方がこの作品の着想を得たのは、写真家坂本万七からもらった高句麗遺跡の壁画の写真。花矢を射るアイヌ民族の祭礼も参考にしたと言います。土着のプリミティブな躍動感と棟方の強い作家性が混じり合い、華やかでかつ緊張感の溢れる迫力ある作品に結実しました。鳥と花で埋め尽くされた背景に弓を引く格好をした馬上の3人。極限まで削ぎ落されたシンプルな形状でありつつ、人も動物も生命の躍動感に満ちています。人が弓矢を持たない理由は「心で花を狩る」ため。棟方が「華狩」というタイトルを考えた時に思い描いたのは、「花を狩る心おもい」ということでした。棟方は「心で花を狩る。きれいな心の世界で美を射止めること、そういうものをいいなあと思い、弓を持たせない、鉄砲を持たせない、心で花を狩るという構図で仕事をした」と語っています。この作品に描かれた「花」、馬上の3人が心で狩る「花」とは、棟方が心象の世界で射止めた「美」なのでしょう。
制作年
1945年
素材/技法
紙 木版
制作場所
日本
所蔵美術館
ジャンル