夜のカフェテラス
Terrace of a cafe at night (Place du Forum)
フィンセント・ファン・ゴッホ
作品解説
ゴッホが1888年2月から滞在した、南仏の町アルルの旧市街中央にあるプラス・デュ・フォルム広場に面したカフェテラスの情景を描いた作品です。この作品は、ゴッホが初めて夜空に黒を使わず、深い青で表現した絵です。ゴッホは妹ヴィル・ファン・ゴッホに宛てた手紙で次のように語っています。「私はいま描いている作品『夜のカフェテラス』にただ夢中だ。…この夜の絵には黒は使われていない。特別なことをせずとも、美しい青やスミレ色、緑が周囲の場所をシトロングリーンと薄い黄色、黄緑色へと彩っている。夜のライトスポットを描くことは、非常に楽しい時間だ…」カフェテラスの空間を暖かい黄色、対照的な夜空の青、光の当たらない街路の黒を対照的に描き、その3色の交わる点を絵の中央に配置することで、絵の安定感が生み出されます。石畳の風合いや夜の光と影のコントラストを波打つような石畳として表現したのも、ゴッホ独特の表現でありこの絵の見所です。モデルになったカフェは「Le Cafe La Nuitカフェ・ヴァン・ゴッホ」という名で現存しており、ゴッホが画架を置いたプラス・デュ・フォルム広場の北東角には、今も画架がセットされています。
制作年
1888年
素材/技法
油彩
制作場所
フランス