教皇インノケンティウス10世

portrait of pope innocent X

ディエゴ・ベラスケス

作品解説
「教皇インノケンティウス10世」はベラスケスが2度目のイタリア旅行中に描いた作品で、彼が描いた肖像画の中でも最高傑作と言われています。この絵のモデルはキリスト教の最高位聖職者であるローマ教皇、本来であれば寛容で神聖な人物として描かれる対象ですが、この絵の人物から感じられるのは狡猾で神経質な冷たい老人といったイメージで、いかにも権力者といった表情でこちら(ベラスケス)を見ています。さらに、背景が「赤」で統一されていることで、見たものは何とも言えない威圧感と息苦しさを感じ、早くこの場を去りたいとさえ思ってしまいます。この肖像画で、ベラスケスは細やかな描写と色彩によって、人物の内面を見事に描き出したのです。また、この作品はのちにイギリスの抽象画家、フランシス・ベーコンがモチーフとして用いたことでも有名で、その後さらに注目を集めました。
制作年
1650年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
イタリア・ローマ
ジャンル