バロック美術
Baroque Art
バロック美術は、16世紀から18世紀はじめにかけて西洋各国を席巻した絵画や彫刻の様式を指します。ルネサンス美術などに比べるとダイナミックで、大胆で動的な表現がもてはやされました。その裏には、宗教改革や絶対王政の確率があると言われています。バロック美術の特徴は、躍動感や明暗の対比が明確になっているため、劇的な印象を受けることです。芝居がかっていると評する人もいました。主題はギリシャ神話や聖人が多く、王族や貴族、宗教者などのお金を持っている人たちの肖像画も描かれました。バロック美術の基礎を築いたのは、イタリアで活躍し、コンストラストの強いキアロスクーロを用いたカラヴァッジォだといわれています。その後、17世紀に全盛期を迎えたバロック美術は、特にスペインやスペイン領だったネーデルランドで顕著に現れました。スペインのベラスケスやフランシスコ・デ・スルバラン、バルトロメ・エバン・ムリーリョ、スペイン領ネーデルラントのルーベンス、オランダのレンブラントなどはその代表的な画家です。また17世紀のオランダでは、絵画は巨大な市場でした。風景画に静物画、歴史画、静物画、風俗画など、様々なジャンルが生まれ、買われていきました。ちなみに「バロック」という言葉は「いき過ぎていて品位に欠けるいびつなもの」という蔑みの意味を含んだ言葉です。均整が取れたルネサンスの美術とは対照的な美術様式を指して、「バロック」という言葉を使ったのです。その反面、バロックは上流階級の人々のみ享受できた美術を、市井のものとしました。