ラス・メニーナス

Las Meninas

ディエゴ・ベラスケス

作品解説
「ラス・メニーナス」はベラスケスの最高傑作と言われている作品で、当時のスペイン国王フェリペ4世の王女マルガリータを中心に、女官や侍従たちの姿が描かれています。画面に描かれている人物のほとんどがこちら側、つまり絵を見るものの方を向いており、まるで自分が絵画の中にいる人物たちに見られているような錯覚におちいりますが、彼らがいったいを何を見ているのかは、画面奥の中央に薄ぼんやりと描かれている鏡に示されています。そこに写っているのは国王フェリペ4世と妻のマリアーナ王妃、この絵は国王が見るために描かれたもので、現に、国王の夏の執務室に掛けられていました。ベラスケスがこの絵に仕込んだ「仕掛け」はほかにもたくさんあります、例えば、画面の左側で絵を描いている画家はベラスケス本人で、この絵は一種の自画像と言えます。ベラスケスが身につけている黒い服の胸には赤い十字の紋章がありますが、これはサンティアゴ騎士団の紋章で、いち宮廷画家にすぎないベラスケスが、国王の特別なはからいで騎士団への加入を果たしたときに、この絵に描き足しました。国王にとって自分が特別な存在だということを公言しているかのようでもあり、同時に、国王への感謝の気持ちを伝えているとも受け取れます。この作品の構図にはほかにも様々な解釈があり、いまなお、多くの研究者たちを惹きつけています。
制作年
1656年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
マドリード
所蔵美術館
ジャンル