椿姫
Poster for 'La Dame aux Camelias'
アルフォンス・ミュシャ
作品解説
この作品は、サラ・ベルナール主演の舞台「椿姫」のために制作されたポスターです。ミュシャ初期の代表的なポスター作品です。「椿姫」は19世紀フランスを代表する劇作家兼小説家アレクサンドル・デュマ・フィス(子)の最も有名な小説で、デュマ本人が戯曲化したお芝居でもあります。高級娼婦「椿姫」ことマルグリット・ゴーティエと好青年アルマン・デュヴァルとの恋の物語で、マルグリットを演じた舞台女優サラ・ベルナールは、作者であるデュマが「椿姫」の最高の役者と認めていたほどの当たり役でした。ポスターの中では、マルグリットに扮したサラ・ベルナールが夜景をバックに欄干にもたれ、軽く目を閉じた穏やかな横顔を見せています。髪に飾られた椿は彼女の通り名を示すと同時に、枝から折られたその姿が、彼女の儚く散る運命をも暗示します。一方、画面左下に配置された枝についた椿はマルグリットとアルマンの永遠の愛を示すものです。画面上部のフレーム内に描かれた荊で傷ついた心臓は、やがてアルマンを思い身を引くマルグリットの自己犠牲の愛を表しています。
制作年
1896年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス