ダナエ

Danae

グスタフ・クリムト

作品解説
ギリシャ神話に登場する、アルゴス王アクリシオスとその妃エウリュディケの娘ダナエを主題とした作品です。「ダナエ」は、神の愛や恍惚を象徴しており、1900年代初頭に多くの画家たちによって好んで描かれた題材でした。しかしクリムトの描く「ダナエ」は、そのエロティシズムにおいて際立っています。父アクリシオスによってブロンズの塔に幽閉されたダナエのもとに、全能の神ゼウスが黄金の雨に化けて忍び込みます。それによってダナエは息子ペルセウスを生むのですが、クリムトの表現するゼウスの黄金の雨は、黄金の精子と金貨が混じった状態で、ダナエの両腿の間に流れ込むのです。ダナエの紅潮した頬や恍惚の表情に、愛のエクスタシーの瞬間が表現されています。またかかとにかかったストッキングや手の位置から、この絵は自慰行為であるとの指摘もあり、幽閉されたダナエの性と愛の妄想であるとの解釈もなされています。
制作年
1907年-1908年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
オーストリア
所蔵美術館
    個人所蔵