聖アントニウスの誘惑
The Temptation of St. Anthony
サルバドール・ダリ
作品解説
「聖アントニウスの誘惑」は、ダリが生涯で唯一コンテストに出品するために制作した作品です。それは、デビッド・レーブとアルバート・ルーウィンが制作した「ベルアミの個人的な仕事」という映画で使われる「聖アントニウスの誘惑」の絵のコンテストでしたが、ダリの絵が映画で使用されることはありませんでした。聖アントニウスはボッシュをはじめ、多くの芸術家によって描かれてきましたが、ダリが描いた聖アントニウスは、一般的に考えられている誘惑から人々を守るのではなく、欲望の源である馬など性的なイメージを乗せた誘惑のパレードをむしろ導いている指揮者のような表現で描いています。また、雲の中にはエル・エスコリアル修道院が描かれており、霊的な世界と現世との乱れを暗示した典型的なシュールレアリスムの要素を多く含んだ作品です。
制作年
1946年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
アメリカ