シュルレアリスム
Surrealism
シュルレアリスムは、フランス語の「シュル=超」という接頭語に「レアリスム=写実主義、現実主義」という語を組み合せた言葉で、日本語では一般的に「超現実主義」と訳されます。詩人で美術批評家のギョーム・アポリネールが考えた造語で、詩人のアンドレ・ブルトンがそれを借用し1924年に「シュルレアリスム宣言・溶ける魚」を発表、そこから芸術運動として広まっていきました。シュルレアリスム運動の理想は「夢と現実の矛盾した状態の肯定」で、不条理で非論理的な風景や日常性と非現実性の同居、自己の無意識の表現などがその作品の特徴です。シュルレアリスム絵画には大きく分けると二つの画風があります。ひとつは自動筆記やデペイズマン、コラージュなどを使い自意識の介在しない状況で制作することで、無意識の世界を表現しようとした画家たちで、マックス・エルンスト、ジョアン・ミロ、アンドレ・マッソンらがそれに当たります。彼らの絵画は具象的な形態を持たず様々な記号的イメージに溢れており、その実験的な手法は美術関係者に大きな影響を与え、後に抽象表現主義などに受け継がれていくこととなりました。もうひとつは不条理な世界や事物のありえない組み合わせなどを具象的な描写で描いた画家たちで、サルバドール・ダリ、ルネ・マグリットらの画風です。奇妙な世界を写実的に描くその作品は、見るものに強い混乱を起こす内容と対照的に親しみやすい写実的な画風から一躍人気を博し、特にダリはアメリカで人気の作家となりました。一般的にシュルレアリスムの作品として知名度が高いのは後者で、後の世のイラストレーションや広告美術、マンガ、アニメーションなどに受け継がれているほか、「シュール」という言語表現の元にもなっています。