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「シュルレアリスム(超現実主義)」とは?有名な画家と代表作品を分かりやすく解説

理性や常識を超えた
世界を描く

シュルレアリスムは、日本語で「超現実主義」と訳される芸術の潮流の1つです。1924年にフランスの詩人アンドレ・ブルトンが提唱したことからシュルレアリスムは始まり、ヨーロッパの絵画や文学において、夢のような世界観の作品を多く生み出しました。

フロイトの「精神分析理論」がシュルレアリスム の支柱にあり、意識の下に閉じ込められている無意識の欲望を描くものとして、シュルレアリスムの表現様式が確立しました。

同時代のダダイズム抽象表現主義と並んで、インパクトのある前衛的な芸術様式の一つです。

 

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「シュルレアリスム」を代表するアーティスト

ルネ・マグリット

1898年11月21日-1976年8月15日(享年68歳)

ベルギー・レシーヌ出身のシュルレアリスムの画家です。

現実的にはありえない場所に置かれていたり、ありえないサイズで描かれる「デペイズマン」という手法を巧みに利用する画家の一人。ジョルジョ・デ・キリコの作品「愛の歌」に感銘を受けたことがきっかけで、印象派からシュルレアリスムの方向へ作風が変化してゆきました。

私生活はとても平凡で、銀行員として働き幼馴染と結婚し、いつもスーツを着込み、アトリエを持たず自宅の食堂で絵を描いていました。波乱や奇行とは無縁な生涯でしたが、ビートルズのアップルレコードのロゴなど、今現在も多くの広告表現やグラフィックアートに影響を与えています。

 

サルバドール・ダリ

1904年5月11日-1989年1月23日 (享年84歳)

スペイン出身の20世紀を代表する多才な画家、ダリ。
代表作「記憶の固執」では、絶対的な時間というものを表している「時計」と、溶けた姿形から曖昧さを連想させる「カマンベールチーズ」という対照的な存在を合わせています。
ひとつのイメージに別のもうひとつのイメージを重ね合わせたこの手法を、ダリは自ら”偏執狂的批判的方法”と称し、シュルレアリスムの新たな可能性を生み出しました。
ダリはチュッパチャップスのロゴマークをデザインするなど、絵画だけでなく彫刻や版画、舞台装置、映画制作と実に幅広い表現活動をしており、商業的な成功を収めたことで、同じシュルレアリストたちからは””Avida Dollars””(ドルの亡者)とも揶揄されていました。

 

マルク・シャガール

1887年7月7日-1985年3月28日(享年51歳)

マルク・シャガールは、20世紀を代表とするユダヤ人画家です。
パリの前衛芸術運動に参加し、前衛的手法とロシア系ユダヤ文化の土着性を融合させた作品がとても人気で、シンプルな色使いで、爆発的な印象を鑑賞者に与える天才的な画家と言われていました。

妻のベラへの愛や結婚をテーマとした作品を多く製作していることから別名「愛の画家」とも呼ばれていました。
シャガールは幼少の頃から幾何学が好きで、線、角度、三角形、四角といった要素を好んでいたため、絵画には幾何学的要素が多く含まれています。

 

シュルレアリスムの代表作品3選

1.「ゴルコンダ」ルネ・マグリット

作者  ルネ・マグリット
制作年 1953年
所蔵  メンリル財団(アメリカ・ヒューストン)


解説

集合住宅のような街並みを背景に、宙に浮かぶ無数の黒いオーバーコートの男たち。

無個性ともいえるほど明快なタッチで描かれたモチーフの組み合わせでありながら、どこか不気味さを感じさせる「ゴルコンダ」は、ベルギー出身の画家ルネ・マグリットの作品です。

絵の中の街並みはマグリットが暮らしたブリュッセルがモデルといわれていますが、作品タイトルのゴルコンダは中世に鉱山で栄えたインドの都市名です。

言葉の持つイメージと作品のつながりについて、鑑賞者に考えさせる仕掛けはマグリットの絵画の特徴でもあります。

「ゴルコンダ」の絵の中の男たちは、一見して全く同じ格好をしているようですが、よく見ると異なる特徴があり、群衆化した人間が無個性に感じられることを表現しているのかもしれません。

 

2.「記憶の固執」サルバドール・ダリ

作者  サルバドール・ダリ
制作年 1931年
所蔵  ニューヨーク近代美術館


解説

スペインの画家サルバドール・ダリといえば、この「記憶の固執」の溶けて柔らかくなったかのような歪んだ時計のモチーフが有名です。軟性を感じさせる時計とは対照的に、荒廃して見える殺風景な景色には固く直線的な地面や土台のようなものが描かれています。

また、3つの時計は時空が歪んだかのようにそれぞれ違う時間を指し、鑑賞者が不安を覚えるような非現実性が画面全体から感じられます。

ダリの作品に多く登場する両極端な柔らかいものと固いものという対比は、意識と無意識を表しているといわれます。

ダリには、幼少の頃に亡くなった兄(同じサルバドールという名前)がおり、このことが彼の死生観や芸術的感性に大きな影響を及ぼしていると考えられています。

 

3.「私と村」マルク・シャガール

作者  マルク・シャガール
制作年 1911年
所蔵  ニューヨーク近代美術館


解説

「私と村」はシャガールの初期の作品で、シャガールが幼少の頃に暮らしたベラルーシ(現ロシア)の牧歌的な農村風景と、モダンなキュビズムの技法が組み合わさっています。

夢の中やファンタジーのような世界観にはシュルレアリスムの兆しが感じられ、「私と村」以降もシャガールはこうした前衛的な作品を生み出しています。しかし面白いことに、シャガール自身はシュルレアリスムに共感できないとして「私をシュルレアリストと呼ばないでほしい」と語っていたようです。

 

「シュルレアリスム(超現実主義)」のおすすめ関連書籍3選

シュルレアリスムとは何か

1,320円 (税込)

絵画に限定せずシュルレアリスムの全貌を知るためにぴったりの1冊(筑摩書房、2002年)。

詩人ブルトンやエルンストをメインとしてシュルレアリスムの在り方を説明しつつ、その非現実性に目を向けていきます。

現代の日本文化への言及もあるなど、芸術のみならず思想や文化全体の潮流としてのシュルレアリスムを理解するために読んでおきたい本です。
著者はシュルレアリスム研究で名高い巖谷國士です。

ダリ全画集 (タッシェン・ミディアートシリーズ)

10,700円 (税込)

サルバドール・ダリの油彩画をすべて収録した画集(タッシェンジャパン、2002年)。

ダリのトレードマークでもあるピンとはねた口ひげの映った写真が表紙です。

同書では油彩画の他、デッサン、映画、ファッション、広告など、多才なダリが関わった様々なアートワークを充実した資料とともに掲載しており、ダリの創作の軌跡を知ることができます。
ダリの作品のファンなら必ず持っておきたい画集です。

シャガールの絵本―空にふわり

1,584円 (税込)

恋人たちやバイオリン弾き、動物などが空中にふわりと浮かんでいる描写が多く見られるシャガールの名画を、絵本形式で紹介するシリーズ(小学館、1995年)。

シャガールの最愛の妻ベラとの恋の物語も織り交ぜ、同書ではシャガール作品をわかりやすく紹介しています。

子どもでも楽しめるように作られた本ですが、大人が読んでもシャガールのノスタルジックかつモダンな世界観を存分に味わえます。
シャガールに興味を持ったばかりの人にもおすすめの1冊です。

 

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