草間彌生美術館で「草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界」展が開催、4/29〜
展覧会「草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界」が、草間彌生美術館で開催中。
本展は、草間彌生作品のサイケデリック性に着目したもので、彼女が幼い頃からの幻覚の恐怖を克服しようとする過程で必然的に生み出された作品群を各時代ごとに紹介する内容となっています。
会期は 2023年4月29日〜9月18日 です。
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「草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界」
現在94歳の日本を代表する現代アーティスト・草間彌生。
1929年、長野県に生まれた草間彌生は、幼少期からの幻視・幻聴体験をもとに絵画制作を始めました。
1957年の渡米後、草間はボディ・ペインティングやハプニングのほか、男性器を模した「ソフト・スカルプチャー」や網目を描く「ネット・ペインティング」など独創的でインパクトのある作品を発表。
前衛美術家としての地位を確立し、現在も制作活動を行なっています。
2022年には香港の「M+」でアジアで史上最大規模の個展が開催。2023年1月には10年ぶりとなるルイヴィトンとのコラボレーションキャンペーンが世界の主要都市で開催されるなど、近年特に人気が高まっています。
「自己消滅」のサイケデリック性
本展のテーマとなる「サイケデリック」とは、平常では得られない強烈な知覚体験やその状態を表す言葉です。
草間彌生のサイケデリック性は、幻覚剤がもたらす人工的な知覚の変化とは本質的に異なり、幼い頃からの幻覚の恐怖を克服しようとする過程で必然的に生み出されたもので、草間は自身のトラウマとも言える幻覚体験を作品へと昇華させていきました。
草間は、単一モチーフの強迫的な反復と増殖から生じる自他の境目が消えていく感覚を「自己消滅」と呼んでおり、様々な形でそうした感覚を表現しています。
自己消滅は、草間が制作活動の初期からのテーマである一方、鏡の反射と光の明滅などを活用し、鑑賞者を恍惚とさせる表現には、彼女がニューヨークで過ごした60年代のサイケデリック・ムーブメントを彷彿させるような、幻覚剤による知覚体験を追体験させる視覚効果と重なり合うものがあります。
各時代のサイケデリックな作品を展示
本展では、草間作品世界にみられるサイケデリック性に着目し、各時代の豊かな想像力に溢れた作品群を展示。
60年代後半にニューヨークの個展で発表した、六角形のミラールームのシリーズ最新作を初公開するほか、ハプニングなどの記録動画を用いた映画や関連資料を通して、サイケデリック・ムーブメント最盛期のニューヨークでの草間の作家活動を紹介する内容となっています。
他にも活動初期のドローイングや、日本へ帰国後、制作を開始した鮮やかな色彩のアクリル絵画や大型の立体作品、ブラックライトを使用したインスタレーション、短編映像や文学作品なども公開されています。
ミラールームシリーズ最新作「平和への願望はひとつひとつ輝くばかり」
本展の見所の一つは、今回初公開となるミラールームシリーズ最新作「平和への願望はひとつひとつ輝くばかり」。
奇抜で強烈な色の光が明滅する空間は、まるで万華鏡の中に入ったような視覚体験と、サイケデリックな没入感をもたらします。
この作品のすぐ隣では、浮遊感のある独特のサウンドが特徴的な1967年の映画「草間の自己消滅」を上映し、鑑賞者にさらなる陶酔感を与えます。
網目模様に覆い尽くされたマネキン「無題」と「スーツケース」
美術館の2階では、1960年代の作品を中心に、帰国後〜90年代前半までに制作されたペインティング、コラージュ、映像などを展示。
中でも、60年代に制作された網目模様に覆い尽くされたマネキン「無題」と「スーツケース」は、本展の見どころの一つとも言える貴重な作品で、反復と増殖から生じる「自己消滅」の哲学が垣間見えるものです。
さらに、70年代と90年代に制作されたサイケデリックな視覚効果を生み出している平面作品4点が世界初公開となります。
世界初公開となる80年代後半の小型絵画シリーズ
美術館の3階は、世界初公開となる80年代後半の小型アクリル絵画シリーズを含め、80年代後半から90年代前半の絵画と立体が展示されています。
注目すべき作品は、幅4メートルの巨大なキャンバス全面に青色の単一モチーフが繰り返し描かれている「天上よりの啓示(B)」。
単一モチーフの反復と増殖により、鑑賞者に絵画そのものが蠢いているかのような錯覚を与えます。
「I’m Here, but Nothing」
4階の展示室には、ブラックライトと蛍光ステッカー、家具、日用品を使用したインスタレーション作品「I’m Here, but Nothing」が展示されています。
色とりどりの水玉で覆い尽くされた空間に入り込んだ瞬間、空間の一部に溶け込むような感覚を抱き、草間彌生の言う自己消滅を体感することができます。
花の大型立体作品「真夜中に咲く花」
5階の屋上ギャラリーでは、花の大型立体作品「真夜中に咲く花」を展示。
草間彌生の代表的なモチーフでもある花の巨大彫刻は、強い生命力を感じさせる迫力があります。
花弁の中心に描かれた眼は、サイケデリックムーブメントと同時期のアメリカに現れたフラワーチルドレン(ベトナム戦争への反戦を示すために花や花模様を身につけた若者たち)を想起させ、草間彌生の幻覚と60年代の精神を伝えるものとなっています。
草間彌生の自己消滅の哲学が凝縮された本展。
強烈な色彩と躍動的なエネルギーが渦巻くサイケデリックな鑑賞体験をご堪能ください。
草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界
会期:2023年4月29日(土)~9月18日(月)
会場:草間彌生美術館
開館時間:11:00-17:30
休館日:月・火・水曜日(祝日の場合は開館)
料金:※日時指定の予約・定員制(各回90分)。チケットは美術館ウェブサイトのみで販売。美術館窓口での取り扱いなし
一般 1100円 高校・中学・小学生 600円 未就学児 無料
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