2021/03/19

レオナルド・ダ・ヴィンチ最後の晩餐
MAGAZINE

「最後の晩餐」とは?ダヴィンチの名作の意味やすごい点・裏切り者の謎を徹底解説!

レオナルド・ダヴィンチの名作「最後の晩餐」。

イエス・キリストの処刑前夜に、使徒12人と食卓を囲む様子が描かれたこの作品は、美術史に残る傑作であると言われています。

アートにあまり興味がない人も、必ず知っている作品ですよね。

実はこの作品には、あまり知られていない謎が隠されているのをご存知でしょうか?

今回は「最後の晩餐」の意味から、レオナルド・ダヴィンチの絵の解説、さらには絵に隠された謎までを徹底解説いたします!

「最後の晩餐」とは?

「最後の晩餐」の意味

「最後の」と修飾詞がついているのは、イエス・キリストが処刑される前に食べた最後の食事だったから。

また、イエスが逮捕されたのがまさに除酵祭の日で、これはユダヤ人が除酵祭の日に食べる”過越の食事”をしている光景でもあります。

キリストはパンを「自分の体」、葡萄酒を「自分の血」として弟子たちに与え、「これをわたしの記念として行え」と命じたと言います。

レオナルド・ダヴィンチの
「最後の晩餐」

作品解説

制作年 1495~98年
作品サイズ 420 cm × 910 cm
所蔵 サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院

西洋美術で最も有名な作品の一つである「最後の晩餐(The last supper)」。

ミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の当時食堂だった空間に描かれた、大きな壁画作品です。

ダヴィンチのパトロンであったミラノ公爵、ルドヴィコ・スフォルツァの教会と修道院の改修工事の一部として依頼を受け制作。

遅筆で有名なダヴィンチが、彼にしては速いペース3年で完成させました。

制作前のスケッチ

また、食事の油や第二次世界大戦での空爆などにより、絵画が現存しているのが「奇跡」だと言われているほど、保存状態は悪い状態です。

何年もかけて何度も修復や書き足しを重ねられ、現在の姿で残っています。

そのようなことからこの作品は「奇跡の絵画」と呼ばれています。

 

修復前の「最後の晩餐」(1970年)

修復前の最後の晩餐

ソース

 

ユダの裏切りを予言した絵

最後の晩餐には、「12使徒の中の一人が私を裏切る」とキリストが予言した時の情景が描かれています。

そしてその裏切りの人物とは、正面左手に座っているユダ(Judas)

ユダ

ヨハネによる福音書にはそのシーンがこのように書かれています。

イエスがこれらのことをわれた、そのぎ、おごそかにわれた、「よくよくあなたがたにっておく。あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」。

弟子たちはだれのことをわれたのかしかねて、見合わせた。

引用:ヨハネによる福音書13

レオナルド・ダヴィンチの「最後の晩餐」は、12人の使徒の中の誰が裏切り者なのか?と使徒たちが動揺している一瞬を切り取った一枚なのです。

そしてキリストは、裏切り者について「わたしがパン切れをワインに浸して与える者です」と言います。

そしてここで注目して欲しいのがユダの左手。

ユダの手

ユダは後ろの2人の話に気を取られ、イエス・キリストが取ろうとしているパンと同じものに手を伸ばしています。

またユダは右手にキリストを裏切った報酬である、銀貨30枚が入った袋を握っています。

このような点から、ユダが裏切り者であるということが暗示されています。

 

レオナルド・ダヴィンチ「最後の晩餐」は何がすごい?

計算された構図

最後の晩餐 消失点

ダヴィンチの「最後の晩餐」を語る上で欠かせないのが構図。

壁や机などから導き出せる線を繋ぐと、全てイエスの右頬に行き着きます。キリストの顔が遠近法における”消失点”に位置しているのです。

ダヴィンチは西洋絵画としては初めてとなる「遠近法」の透視図法を使って、この一枚を描きました。

数学に秀でて、様々な発明もしたダヴィンチだからこそ描ける画期的な一枚だったのです。

 

生き生きとした人物表現

「最後の晩餐」では、豊かな感情表現が見事に描かれています。

ダ・ヴィンチは12人の使徒を3人ずつのグループに分けて構図を決めています。ここではそのグループごとに紹介します。

人物表現1

右の聖マタイ・聖タダイ・聖シモンは「一体誰が裏切り者か?」という議論をしています。

真剣な表情で手振りを使って議論する様子からは、状況の緊迫感が伺えます。

 

我かと問う弟子

聖トマス・聖ヤコブ・聖フィリポは、キリストに裏切り者とは自分のことかと必死で問いています。

自分じゃないと哀願するようにキリストを見つめる聖ヒリポ。

また「雷の子」と呼ばれるほど激しい性格をしていたと言われる、聖ヤコブ(中央)は険しい表情をしているのが分かります。

 

驚く弟子たち

画面左手の聖バルトロマイ・小ヤコブ・聖アンデレ。

聖バルトロマイと小ヤコブはキリストの告白に身を乗り出し、聖アンデレは驚きのあまり両手をあげています。

 

人物表現2

正面左手の聖ペテロは、聖ヨハネに何かを耳打ちしています。

そして固まる裏切り者、ユダ。暗い横顔からは、表情まではうまく読み取ることができません。

このように「最後の晩餐」は、一人一人の心情をとても巧みに表していると評されています。

 

ダヴィンチ以前の「最後の晩餐」

「最後の晩餐」はたくさんの画家によって描かれている、キリスト教絵画では重要な題材です。

ダヴィンチの「最後の晩餐」は、それ以前に描かれたものとは大きな違いがあります。

まず構図ですが、ダヴィンチの「最後の晩餐」では12使徒がテーブルに横一列で並んで座っていますが、それ以前の構図はテーブルを囲んで丸くなっているか、もしくはユダだけテーブルの手前側にポツンと座っているかのどちらかです。

しかしダヴィンチの「最後の晩餐」ではその前提を覆し、革命的な構図を取り入れました。

 

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レオナルド・ダヴィンチ「最後の晩餐」の謎

裏切り者ユダの謎

ユダの右手

絵の修復以前は、ユダの下半分が剥落していました。

修復済みの現在の「最後の晩餐」では、ユダの右手は銀貨を握っています

しかし当初は、ユダの左手は何も持たず、驚きの余り鉢に浸した持っていたパンを落とした瞬間の描写であったとも言われています。

現在描かれている姿は、イエスを裏切った代償としての銀貨30枚が入った金入れの袋を持っている場面。

 

マタイによる福音書では、イエスを引き渡した後で銀貨を受け取ることになっていたユダが、なぜここで銀貨を持っているのか?

ダヴィンチの元の絵はパンを落とした姿だったのではないか?

 

現存するユダの描写にまつわる謎はまだ解明されていません。

 

聖ヨハネはマリアだった?

聖ヨハネとキリスト

キリストの正面左手に座っている聖ヨハネを、マグダラのマリアとする説も唱えられています。

マリアは密かにイエスと結婚をしていた人物。

確かにこの人物は髭もなく、光の当たり方も周りとは全くことなっており、顔のほりの浅さと丸みを帯びた感じからしても意図して女性的に描かれていることがわかります。

聖ヨハネとキリスト

この時代の席順というのはポジションを表していることが多く、聖ヨハネはペトロよりイエスに近いすぐ隣にいる人物であり、またイエスの服との色合いのコントラストがまるで鏡映しにしたようなペアルックにも見えることから、ただの弟子ではないとも考えられています。

そして構図にこだわりと秘密を込めていたダヴィンチにしては、不自然に他の弟子との距離よりも圧倒的な間があるのが分かります。

そのことからダヴィンチはこの空間に、2人の子供を想像したのではないかとも言われています。

 

ナイフを持った手

ナイフを持った手の謎

ユダの左にいる聖ペテロの左手に握られているナイフ。

映画「ダヴィンチ・コード」では、彼がヨハネ(マグダラのマリア?)の首を掻き切ろうとしていると解釈をしています。

ある専門家はユダに知られぬようペテロが右手にナイフを隠し持っており、その裏切り者を刺そうというつもりであるということが示唆されていると言います。

さらに、この手は誰の手とも捉えることのできないという説も

ナイフを持った手の意図と解釈については、今も研究が続けられていますが、確証を得るには至っていません。

 

ダヴィンチ以外の描いた「最後の晩餐」

ドメニコ・ギルランダイオ作(1480年)

イタリアのトスカナ地域のフィレンツェ中央に所在する、オンニッサンティ教会の食堂に描かれた「最後の晩餐」がこちら。

ドメニコ・ギルランダイオはフィレンツェ生まれのルネッサンス期のイタリア人画家。

裏切り者ユダはテーブルの反対側に一人座っています。

先ほど説明したように、ユダだけがテーブルの向かいにいる構図は、キリスト教絵画ではよく見られる構図です

 

ティントレット作 (1592年)

こちらはヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂にある、ティントレットによる5mを超える巨大な絵画です。

光と影の極端なコントラストを活かしながら遠近感を高める画法を得意とするティントレットの演出が良く出ている作品の1つです。

キリストの光輪に力点を置く絵画が多い中、光輪以外にも光源をつかって遠近感を出しているのが特徴的です。

ひときわ大きな光輪を持ったイエスが十二使徒にパンを与える姿が描かれています。

この絵画でもユダは光輪がなく、周りの人々と変わらない扱いで、ひときわ異質な感じで描かれています。

 

ピーテル・パウル・ルーベンス作(1632年)

この作品はある人が、父親の記念のために制作を委嘱したもの。

光の当たるキリストと影にいる人物を巧みに描いた作品です。

イエスが中央で裏切り者についての告白をし、ユダは握った右手を口元にあて不安そうな表情でこちらを見ています

そしてユダの組んだ足の間には骨を加えた犬が描かれており、「信仰心」を象徴するものとされています。

ユダの心情が見て取れるような絵画です。

 

アディ・ネス作(1999年)

イスラエルの現代写真家、アディ・ネスが製作したダヴィンチの「最後の晩餐」のパロディ作品。

最後の晩餐の構図を模倣して食事をとる兵士たちの姿が写っています。

2005年には世界的なオークションハウス、サザビーズで264,000ドル(約3000万円)で入札されました。

歴史的に様々な迫害を受けてきて、現在も様々な争いの中で、苦難な生活を強いられるユダヤ人

この作品はユダヤ人とイエスとの繋がりを表現しており、また同性愛やユダヤ人のアイデンティティにまつわる問題提起をしています。

 

ダヴィンチ作「最後の晩餐」を見るには

イタリア、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会近くにあるダヴィンチの「最後の晩餐」。

美術史に残る名作だからこそ、一生に一度は見ておきたいですよね。

鑑賞は完全予約制なので、見に行く際は注意が必要です!

予約は公式サイト、もしくはオプショナルツアーサイト経由から可能です。

予約は3ヶ月ほど前から可能になるのですが、予約開始直後にあっという間に予約がいっぱいになるほどの人気です。

事前に計画を立てて、ミラノに向けて発つことをおすすめします。

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まとめ

今回は「最後の晩餐」の作品解説から、絵に隠された謎、また関連作品までをご紹介しました。

美術史に残る、レオナルド・ダヴィンチの傑作について、知識を深めることはできましたか?

謎についても様々な研究が進められているので、新たな発表を聞ける日が待ち遠しいですね。

 

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