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バンクシーとは?経歴・代表作について分かりやすく解説

バンクシーって一体何者?
注目される理由を一から解説

バンクシーは、壁にスプレーで絵を描くというゲリラ的なスタイルで作品を残し、スプレーグラフィティ文化をアートとして広めた神出鬼没のアーティスト。

 

 制作している姿を人に見せない

 人の前に一切姿を現さない

 本名を知る人はごく少数の彼の友人のみ

 社会風刺的な作品が多い

 

といった特徴から、普通のアーティストとは一線を画し世界中の注目を集めています。

日本でもバンクシーの作品に酷似した落書きが発見されるなど、話題になっていますが、彼の作品が注目される理由がよく分からない、という方も多いのではないでしょうか?

 

バンクシーの作品は、個人住宅の壁や公共の場に突然出現するため、その所有権がはっきりとしない場合が多く、壁の持ち主が落書きと勘違いして決してしまったり、壁ごと盗み取られたりする事もあります。

作品のメッセージ性もさることながら、その設置場所や作品の行方。オークション、アート市場への皮肉的な行動など、彼の作品が引き起こすハプニングそのものが世界に疑問を投げかけているバンクシー。

 

今回は、バンクシーの代表作と今までに行った数々のハプニングについて解説しながら、今なぜ彼の作品が注目を集めているのか詳しくご紹介します。

 

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グラフィティアートの歴史を辿れば
バンクシーが人気な理由が分かる

グラフィティアートとは、スプレーやマーカーペン(フェルトペン)で、壁などに書かれた落書きのことです。

日本でもトンネルや電車、裏道などで特殊な形の文字をよく見かけますね。

 

HOPHOPの4大要素

 1.ラップ
 2.DJ
 3.ブレイクダンス
 4.グラフィティ

 

の1つとして、1970年代のニューヨークを中心に始まったのがきっかけです。

しかし、もとは「落書き」。許可を得ていない場所では器物損壊罪、立派な犯罪です。
犯罪率が高く治安が悪い地域ほど落書きが多いのも確かです。

 

ニューヨークの地下鉄公団によってNYの地下鉄の車両やホームから落書きが消されると、犯罪は激減していった。

 

かつて世界犯罪都市だった80年代のNYでは、地下鉄の落書きの清掃を務めるなどし、その犯罪率を半減させました。「割れ窓倫理」というものです。

その一方で、国境付近や貧困地域といった規制の対象外の地域では落書きが後を絶たず、依然として落書きには負のイメージが付きまとっていました。

 

落書きから「アート」へ

ニューヨークの地下鉄の広告掲示板にドローイングするキース・へリング

 

しかしその後、キース・へリングの活動によってグラフィティアートは、美術の世界にその存在を示します。

1980年に、彼はニューヨークの地下鉄構内で使用されていない広告掲示板に黒い紙を張り、その上にチョークで絵を描く「サブウェイ・ドローイング」という活動を始め、電車を利用する常連客からの人気を集めました。

 

2000年代に入り、バンクシーがイギリス国内でゲリラ的にグラフィティアートの制作を開始すると、やがてそれが話題となり、オークションなどで高額で売買されるまでになりました。

しかし、全てのグラフィティアートが美術的価値があるものとして認められた訳ではありません。

落書きとして消される事がなく、高額で取引されるのには「バンクシーの作品だから」という理由が大きくあります。

それでは一体、バンクシーの描くグラフィティアートは他のグラフィティアートと何が違うのでしょうか?

 

バンクシーが注目される理由を
代表作から読み解く

ここからは、バンクシーが世界で注目される理由を、彼の作品について解説しながらさらに深く解説します。

 

「Napalm 」(2004)

「Napalm (ナパーム)」 は、ピューリッツァー賞にも輝いたバンクシーの代表作です。

タイトルの「Napalm(ナパーム)」はアメリカで開発された油脂焼夷弾の名称。

 

南ベトナム軍のナパーム弾を浴びて全裸で逃げ惑う少女を捉えた写真「ナパーム弾の少女」は、世界をベトナム反戦運動に駆り立て歴史を動かした1枚として有名です。

 

作品の中央には、その少女を配置しています。

マクドナルドとミッキーというアメリカの資本主義を代表するキャラクターにナパーム弾の少女が捉えられているように見える、戦争への盛大な皮肉が入った作品です。

 

BANKSY バンクシー リプロダクション 複製画「Napalm」

22,000円 (税込)

作品本体サイズ:縦500*横700mm
エディション:600

 

「Well Hung Lover」(2006)

バンクシーは有名になる前、イギリスで「謎のグラフィティアーティスト」と言われていました。

この作品は、彼がイギリスで注目されるきっかけになった落書きです。

 

裸の男性が窓の外にぶら下がり、部屋の中の男は血眼で浮気相手を探す様子が描かれています。

当時のイギリスではグラフィティアートは景観を損なうとして消されるのが通常でしたが、バンクシーのユーモアと芸術的センスが認められ、近隣住民によってこの作品を残すべきかどうか投票が行われたのです。

投票の結果、99%以上の住民の賛同を得て、この作品は残されることとなりました。

 

その後もバンクシーは、イギリスの町中でメッセージ性の強い落書きを発表していきます。

 

「The Son of a Migrant from Syria」

難民キャンプのテントで占められたカレー地区に、スティーブ・ジョブスの姿が突如現れる。

 

難民キャンプがあることで有名な、フランスの都市カレーに突如出現したグラフィティ。

片手に初期のパソコンと、肩に大きな袋を下げたスティーブ・ジョブズが難民の一人のように描かれています。

 

この作品は難民支援を意図して描かれたと言われており、

「難民の入国を禁止すれば、未来のスティーブ・ジョブズの可能性を奪う可能性がある」

というメッセージを投げかけています。

 

すでにご存知の人もいるかもしれませんが、スティーブ・ジョブズ自身も実はシリア移民の息子なのです。

バンクシーは『The Independent』紙への声明で、この作品を描いた動機をこう述べています。

 

移民は国のリソースを枯渇させると考えられがちだが、ジョブズ氏はシリア移民の息子だった。

アップルは、世界で最も高い利益を上げている企業で、年70億ドル以上の税金を支払っている。

アップルが存在するのはひとえに、シリアの都市ホムス出身の若者を受け入れたからだ。

 

バンクシーが起こしたハプニングの数々

ここからは、バンクシーが今までに世界中で行った大きなハプニングを年代順に解説します。

 

シュレッダーで自身の作品を切り刻むといった彼の行動から分かるように、「バンクシー作品」は、作品そのものが投げかけるメッセージだけでなく、作品がどんな形で提示されるかも注目すべき点になります。

当初は「謎のグラフィティアーティスト」だったバンクシーですが、彼の仕掛けるハプニングは次第に大規模なものになっていき、世界はますます彼を追いかけるようになります。

 

美術館に作品をゲリラ展示

彼が世界で注目されるアーティストになったきっかけは、2005年に行われた作品のゲリラ展示です。

それまでは「謎のグラフィティアーティスト」という印象しかなかった彼が、初めてハプニングを起こしました。それは、

 

 MoMA
 メトロポリタン美術館
 アメリカ自然史博物館
 ブルックリン美術館
 大英博物館
 ルーブル美術館

 

といった世界の有名美術館に自らの作品を無断で展示するという斬新なアイデア。

 

MoMAに置かれた作品
「Discount Soup Can」

 

メトロポリタン美術館に置かれた作品
「You Have Beautiful Eyes」

 

アメリカ自然史博物館に置かれた作品
「Withus Oragainstus」

 

ブルックリン美術館に置かれた作品
「Soldier with Spray Can」

 

大英博物館に置かれた作品
「Wall art」

 

それぞれの美術館の展示の特徴を反映し擬態しながら、「反戦」と「反資本主義」のメッセージを投げかけるバンクシー。

 

作品制作から美術館に作品を飾るまでの映像がこちら。

バンクシーが作品を美術館に展示する様子が映っていますが、果たして彼が”本物の”バンクシーなのか、正体については未だに謎の多いバンクシー。

 

メトロポリタン美術館の作品は1日のうちに発見され撤去されましたが、中には誰にも気づかれずそのまま放置されるといった作品も。

 

しかし、彼の作品はのちに完成度の高さが認められ、なんと同博物館の正式なコレクションに追加されることになりました。

バンクシーはこのゲリラ展示を機に、街の片隅のグラフィティアーティストという立場から完全に脱却し、アート市場で一気に注目されることとなります。

 

バンクシー作品の価格が高騰

現在は離婚してしまいましたが、アンジェリーナジョリー、ブラッド・ピッド夫妻もバンクシーの作品を購入しています。

 

購入した作品の値段は、なんと総額4,000万円!

二人はこの作品以外にも何点か購入しており、バンクシーファンとして有名です。

 

アンジェリーナジョリー、ブラッド・ピッド夫妻が購入したバンクシー作品はこちらの2点。

 

切り取られ、盗まれる作品も

バンクシーのオリジナル作品が販売されている場所は、個展会場がメインになりますが、屋外に描かれたグラフィティは無断で作品が壁を切り抜き、勝手にオークションにかけられてしまう場合もあります。

所有者のはっきりとしない彼の作品は、切り取られ、盗まれ、オークションにかけられます。しかしその利益は全くバンクシーの元には入りません。

 

2007年2月に行われたサザビーズ主催のオークションで彼の作品6点は8500万円以上の値を付けました。

作品がどのような形であれ、バンクシー作品の市場価格が高いことが伺えます。

アート市場だけでなく、バンクシーが作品をゲリラ展示した場所には、その作品を見ようと多くの観光客が訪れるため、それが経済効果を生んでいます。

 

バンクシーの活躍によって、アート市場で作品の価値はますます高騰。それまで取り締まり対象だった「落書き」を積極的に残す街が増えました。

それは同時に、バンクシーが皮肉っていた「資本社会」に彼自身が飲み込まれてしまった瞬間でもありました。

 

「Art Sale」

しかし、そこで終わらないのがバンクシー。

この状況を逆に面白がり、逆手に利用した「Art Sale」という作品を発表しました。

 

NYの路上で自身の作品を、

1枚=60ドル(約6000円)

という破格で販売するというゲリラパフォーマンスを発表したのです。

 

動画に写っている人物は売り子としてバンクシーが雇ったおじさんです。

ここはセントラルパークの仮設エリアで、よく露店販売が行われている場所でした。

 

1日の購入者は数人で、売上金額は420ドル(約41,000円)程度。

オークションで販売されていた場合、総額1億円にはなっていたと言われています。

 

購入した人の何人が本物のバンクシーの作品と気づいたのでしょうか?

ほとんどの人が見向きもしなかったのもそのはずで、ニューヨークの路上では、彼の偽物がたくさん路上販売されています。

彼はそれを逆手に取り、アート市場を盛大に皮肉ったパフォーマンスを行ったのです。

 

高所得者たちによって価格高騰が起きている現在のアート市場への批判的姿勢は、「シュレッダー事件」にも繋がっていきます。

 

「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」

2013年10月1日、バンクシーはニューヨークで告知無しのゲリラ野外展示「Better Out Than In」をスタートさせました。

1ヶ月の間に毎日1点、ニューヨーク各地の路上に作品を残し、場所を明かさず公式サイトに投稿するというバンクシーの前代未聞のパフォーマンス。

 

人々はバンクシーの作品を求めてニューヨーク中を駆け回り、ニューヨークはまるでストリートとネット上の「宝探し競争」となりました。

 

突如NYの街に現れたトラック。中には食肉用に飼育される動物、ブタ、ウシ、ヒツジなどのぬいぐるみがひしめいている。

 

中には、ワールド・トレード・センターで起きた9.11アメリカ同時多発テロを彷彿とさせるストリートアートも。作品の前には、鑑賞者たちによって追悼を祈る花がたむけられました。

 

発見された場所からギャラリストによって無断で運び出される作品も。
この作品の行方が映画の見せ場となり、バンクシー作品の価値、果てはアート作品の価値やアート市場のあり方について疑問を投げかける。

 

1ヶ月間の作品ゲリラ展示の模様と、それに翻弄される人々の様子は「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」というドキュメンタリー映画になり、日本でも放映されました。

 

バンクシーの作品を追う人々、盗まれ転売される彼の作品とそれを取り巻く人々の姿から、資本主義とアート市場について深く考えさせられる映画です。

 

「Dismaland(ディズマランド)」

2015年8月には、ディストピア版ディズ●ーランド「Dismaland(ディズマランド)」をイギリスの観光地ウェストン・スーパー・メア海岸で1カ月期間限定でオープンしました。

企画者であるバンクシーだけでなく、ダミアン・ハースト、ジェニー・ホルツァー、ジェフ・ギレットといった、世界50ヶ国以上の現代アーティストによる作品やパフォーマンスも展示され、世界中から彼のファンが詰め掛けました。

 

来園者を出迎えるのはボロボロのシンデレラ城と歪んだアリエル。

 

ディズマランドの全景MAP

 

ディズマランドの語源となっている「dismal」は、英語で「陰鬱・暗い」といった意味を指します。

 

全くやる気のない従業員

 

悲劇の様子を捉えようとカメラのフラッシュをたくパパラッチ。

 

シンデレラ城の中には横転した馬車が展示されており、シンデレラが半身を乗り出して死んでいます。

この作品はパリで亡くなったダイアナ妃の不慮の死を暗示していると言われています。

 

 

色を失った殺風景な園内、笑顔も愛想も無い従業員。まさに悪夢の遊園地です。

しかし、たった5週間の開催で計15万人を動員する大成功を収めました。

 

 

「Walled Off Hotel」

2017年3月20日、バンクシーは、ベツレヘム(パレスチナ自治区内)地域に「The Walled Off Hotel」というホテルをオープンします。

 

ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の3つの宗教の聖地でもあるエルサレムから南へ約10kmの位置にあるゲストハウスを改装し、建物の至るところにバンクシーの作品が展示されています。

 

パレスチナ人アーティストのSami Musa(サミ・ムサ)やカナダ人アーティスト・Dominique Petrin(ドミニク・ペトリン)といった外部のアーティストたちも同プロジェクトへ参加、各部屋のデザインを担当しました。

 

ゲストルームの壁にもバンクシーのアートが

 

難民キャンプを彷彿とさせるドミトリールーム

 

パレスチナ分断壁のジオラマといったユニークなお土産も販売しています。

 

気になるホテルの宿泊料金は、一泊30ドル〜

宿泊の予約は以下の公式サイトから可能です。

 Walled Off Hotel 公式サイト

 

シュレッダー事件「愛はごみ箱の中に」

2018年10月5日、ロンドンのオークションハウス「サザビーズ」でバンクシーの作品が落札された瞬間に、額に仕込まれたシュレッダーによってズタズタに切り刻まれるという事件が起きました。

 

落札されたのは、バンクシー作品の中でも特に人気の高い「Balloon Girl(風船と少女)」という作品。

この作品は、事前予想の3倍のなんと104万2000ポンド(約1億5500万円)、過去のバンクシー作品の最高落札額と並ぶ金額で落札されました。

 

落札が決まると同時に会場にアラーム音が響き渡り、額縁に仕込まれたシュレッダーが起動、作品の下半分が切り刻まれその場にいた人々はパニックに包まれました。

 

YouTubeに投稿された動画には、作品の額にシュレッダーが仕込まれる瞬間が残されています。

 

バンクシーは一連の出来事を自身のInstagramに投稿。

ここでは「破壊の衝動は、創造的でもある」というピカソの名言を引用しています。

 

購入者もこの事件を受け入れ、購入に同意。

バンクシーの作品を管理する専門機関「ペスト・コントロール」によって原題とは別に、「Love is in the Bin(愛はごみ箱の中に)」というタイトルが付けられました。

 

BANKSY バンクシー リプロダクション 複製画「Girl with Balloon」アンティークフレーム付

49,500円 (税込)

作品本体サイズ:縦700*横500mm
額装外寸:縦828*横628mm

 

バンクシーの新作はInstagramでチェック

今後も目が離せないバンクシー。
バンクシーの最新情報を入手したい、という方も多いのではないでしょうか。

バンクシーの公式HPでは、最新作が順次公開されている他、バンクシー公式ツイッター、Instagramの更新にも目が離せません。

最近はInstagramの投稿頻度が多く、最新の情報を手に入れるには一番の近道になりそうです。

 

● バンクシー公式Instagram

 

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