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CULTURE

映画「バンクシーを盗んだ男」あらすじ・見どころを詳しく解説

 

DATA


  原題  『The Man Who Stole Banksy』
  監督  マルコ・プロゼルピオ
  製作  2014,アメリカ
 日本公開 2018年8月4日
 上映時間 93分

 

 

 

あらすじ

壁をキャンバスに、社会風刺的なグラフィティーアートをゲリラ発表するバンクシー。
これまでも様々な場所でグラフィティーアートを発表し、物議を醸してきました。

そんなバンクシーのドキュメンタリー最新作。
今回の舞台は、現在もイスラエルとの紛争が続くパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区です。

 

この場所には、イスラエルが34億円を費やし一方的に建設された高さ8メートルの分離壁が、パレスチナの人々を強制的に排除しています。

バンクシーはその分離壁に、グラフィティを描くプロジェクトを開始。
世界中のアーティストがこの活動に賛同し、分離壁を自分たちのアート作品で埋め尽くしました。

 

壁画を見るために先進国のメディアやマスコミ、バンクシーのファンが壁画を見にこの地を訪れます。

再び世界からの注目を浴びた現地の人々は、バンクシーを歓迎しました。

 

しかし、バンクシーが「ロバと兵士」という作品を発表すると人々の反応は一変。

この絵をパレスチナへの侮辱と捉えたタクシー運転手のワリドは、友人らと連携してこの絵を壁ごと切り取り、オークションサイトに出品してしまうのです。

 

「壁の所有者に許可を取ったのだから問題ない」と主張するワリド。

壁から切り取られた「ロバと兵士」は、壁の所有者によってオークションサイト「ebay」に出品されます。
その後も様々な所有者の手を経て、最後に作品が行き着いた場所とは…?

 

映画を見る前に知っておきたいこと

 

1.「WHO IS “BANKSY”?」

 

バンクシーは、今世界で最も有名なグラフィティアーティスト。

彼が作り出すグラフィティーアートは世界中に広く知られていますが、バンクシーとは一体誰なのか、実はその答えを知る人は多く存在しません。

 

バンクシーの基本的な製作スタイルは、人が見ていない街の壁にゲリラ的にグラフィティーアートを描く、というもの。描かれた作品の多くは、戦争や社会のルールに対する疑問、批判を投げかけるようなテーマ性を持っています。

 

社会に大きな風穴を開けるバンクシーのパフォーマンスは大きな波紋を呼び、たちまち彼の人気は急上昇。
バンクシーの作品は今や、億単位で取り引きされています。

 

バンクシーのような、才能秘めた作家を見つけよう

バンクシーは元々はストリートで活動していた話は有名です。

そんなかつての彼のような、才能を秘めるアーティストが活躍するプラットフォーム、

それが日本最大級のアートのオンラインギャラリー「This is gallery

一万人以上の作家が登録しており、作品数も充実。

バンクシーを彷彿とさせるような、メッセージ性のある力強い作品もたくさん掲載されています。

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2.分断されたパレスチナの人々

 

パレスチナとイスラエルの双方が所有権を主張したきたイエルサレムは現在、アメリカがイスラエルの首都と認定しています。

首都認定により両国間の溝は深まり、双方の争いは激化。パレスチナ人による自爆テロが後を絶ちませんでした。

 

そこで、イスラエル側は一方的に二つの領土を分断する巨大な「分離壁」(別名:アパルトヘイト・ウォール)を建設。イスラエル兵が現在もパレスチナ人の侵入を監視しています。

 

こうしたイスラエルの行動に対し、世界から多くの批判が寄せられています。
2003年には壁の建設の中止と撤去を求める国連決議が出され、翌2004年には国際司法裁判所の勧告が出されましたが、その後もイスラエルは構うことなく壁の建設を続けました。

 

3.「ロバと兵士」

 

それまでバンクシーを歓迎し、支持してきた現地のパレスチナ人たちですが、この絵に対しては不満を訴え、壁から切り取ってしまいます。

しかし、なぜこの絵だけが彼らの反感を買ったのでしょうか?

 

ここに描かれているロバと兵士はパレスチナとイスラエルの関係を暗示しています。

イスラエル兵士がロバの身分証をチェックする様子が描かれており、イスラエルに支配されるパレスチナを様子を揶揄して描いたことは間違いありません。

しかし、問題はパレスチナをロバにしてしまった点にあります。

パレスチナ人にとってアラビア語でロバは「バカ」を意味することから、人々は「バンクシーの絵はパレスチナ人を馬鹿にしている」「自分たちの味方だと思っていたバンクシーに実は裏切られていたのではないか」といった不信感を抱いたのです。

4.壁画は誰のもの?

 

これだけ有名になった今も、「リビングやダイニングに飾られることがストリートアートの宿命だとは思わない。美術館なんかよりも河川敷のほうが空間として興味深いから」と語り、自分のスタイルを変えないバンクシー。

彼がグラフィティアートの世界に登場するまで、グラフィティアートは「落書き」「犯罪行為」「低俗」なものだと世間的には捉えられていました。

 

しかし、バンクシーがグラフィティアートを立派なアート作品に昇華させたことによって、多くのファンやアートコレクターが彼の作品の収集に奔走します。そこで議論されたのが、

「壁に描かれた絵は誰のものか?」

という点です。バンクシーの作品価値が高まる一方で、壁の所有者がそれを切断しオークションに出品したり、時には壁ごと盗み出される事もありました。

 

グラフィティーアートの場合は、作者の著作権よりも所有権が優先されるため、バンクシーには一銭もその利益が入りません。その現象は、高額で売買される現在のアート市場とアーティストの関係においても例外ではありません。

 

バンクシーの作品が引き起こした「壁画は誰のものか?」という問題は、「アート作品は誰のものか?」というアート市場の問題にも大きな疑問を投げかけているのです。

 

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