オークション抽象表現主義美術投資
ART

ジャクソン・ポロックの「Number 31 (1949)」が5月のオークションに出品、予想落札価格は約57億円

ジャクソン・ポロック

Photo: ©1991 Hans Namuth Estate Courtesy Center for Creative Photography, the University of Arizona.

世界三大オークションハウスのクリスティーズは、2022年5月12日にニューヨークで開催されるオークションで、ジャクソン・ポロックの抽象画が出品されると発表しました。

今回出品されるのは「Number 31 (1949)」というタイトルの作品。

ポロックが生み出した「ドリップペインティング」の技法で描かれた大作で、20世紀美術のイブニングセールで競売にかけられる予定です。

予想落札価格は4500万ドル以上(日本円で約57億円)となっています。

 

あなたの部屋に合うアートは?
「アート診断」

Q1.希望の価格帯は?

Q2.気になるジャンル・モチーフは?

国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
23件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
30件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
34件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
55件見つかりました!
診断をやり直す

ドリップペインティングの中で最もパワフルな作品「Number 31 (1949)」

ジャクソン・ポロック

Jackson Pollock, Number 31 (1949). Image courtesy Christie’s.

「Number 31 (1949)」は78cm×55cmの大きさの作品で、1949年に完成しました。

この作品は、ポロックが遺したドリップペインティングの中で、最もパワフルな作品の一つとして評価されています。

 

「ドリップペインティング」とは

ジャクソン・ポロック

Photo: ©1991 Hans Namuth Estate Courtesy Center for Creative Photography, the University of Arizona.

「ドリップペインティング」とは、キャンバスを床に置き、絵具缶から直接絵具を滴らせて描く技法で、ポロックの代名詞とも言える表現方法です。

画家が身体全身を使って描くことから「アクション・ペインティング」とも呼ばれています。

 

ポロックがキャンバスの周辺を動きまわりながら描いたドリップペインティングは、それまで当たり前とされてきた伝統的な絵画の構図概念を打ち壊し、中心を欠いた絵画を発明したことで高く評価されました。

全身を駆使した躍動感のある絵を実際目の前にすると、その迫力に圧倒されます。

 

クリスティーズの20世紀および21世紀美術担当であるアレックス・ロッター(Alex Rotter)は次のように述べています。

ポロックは、その革新的な新しい技法によって、伝統的な絵画の既存の枠組みを効果的に覆しました。

『真のドリップペインティング』は、1940〜60年代アメリカでのアバンギャルドの究極の形であり、流通市場で出会うことは現在でも非常に稀なのです。

 

今回出品される「Number 31 (1949)」は、1967年と1998年にMoMA(ニューヨーク近代美術館)で開催されたポロックの回顧展にも出展されており、ポロックの画業においても重要な作品と言えます。

 

予想落札価格は4500万ドル(約57億円)以上

「Number 31 (1949)」が最後にオークションに出品されたのは、30年以上前の1988年5月。

当時、クリスティーズで350万ドル(約4億円)で落札されました。

以後30年以上もの間、同じプライベートコレクターが所有していたこともあり、今回のオークションでは4500万ドル以上(約57億円)で売却されると推定されています。

 

ポロック作品のオークションでの過去最高記録は、2021年11月にオークションハウスのサザビーズで落札された作品「Number 17 (1951)」で、落札額は6,120万ドル(約78億2700万円)です。

この作品は有名な不動産王ハリー・マックロウ(Harry Macklowe)のコレクションから出品され、予想価格の3500万ドル(約44億円)をはるかに上回る、6100万ドル(約78億円)で落札されました。

この時オークションに初めて出品されたということもあり更にプレミアが付き、最終的には6,120万ドル(約78億2700万円)という価格でジャクソン・ポロックの新記録を樹立しました。

 

ポロック作品は他にも、2013年に5800万ドル(約74億円)、2018年に5500万ドル(約70億円)という落札記録を残しています。

 

それだけではありません。オークション以外の個人的な取引ではなんと、1億4000万ドル(約179億円)という破格な取引額を記録しています。

これは2006年に、映画プロデューサーのデヴィッド・ゲフェン(David Geffen)が、所有していたポロックの代表的なドリップペインティング「No.5」(1948年)をメキシコの金融家デヴィッド・マルティネス(David Martinez)に個人的に売却した時の価格です。

 

ポロックの絵画は現存するものが少なく、作品の価格は継続的に上昇しているのが現状です。

今回の作品が予想落札価格に達すれば、オークションで落札されたポロックの作品の中でトップ4に入ることになります。

なお、今回の作品は4月22日までクリスティーズのロサンゼルス支社で展示された後、ニューヨークに戻り5月12日のオークションに先立ち展示される予定です。

 

現代アメリカで最もパワフルな画家と言われるジャクソン・ポロック。今後の市場動向にも引き続きご注目を。

 

 

関連記事

森山未來が描く没入型パフォーマンス「FORMULA」中野信子、エラ・ホチルドらと共同制作

俳優、ダンサー、アーティストとして幅広く活動する森山未來。 今回、脳科学者の中野信子、振付家・ダンサーのエラ・ホチルドらと共同制作を進める新作パフォーマンス『FORMULA(フォーミュラ)』の上演が決定しました。 2022年10月1

バンクシーの作品29選!ネズミ・風船と少女・シュレッダー事件など有名作品を詳しく解説

「芸術テロリスト」 バンクシーの代表作品29選 世界的に有名なグラフィティアーティスト、バンクシー(Banksy)は、ロンドンを中心に活動する正体不明の覆面アーティスト。 本名や顔、年齢など、彼の実態を知る人がいない、謎に包まれた

アーティストインレジデンス(AIR)とは?応募方法、国内・海外のAIRプラットフォームについて詳しく解説

アーティストが一定の期間その土地に住みながら作品制作や展示、成果発表を行う「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」。 AIRのプログラムは海外をはじめとして、現在は日本各地で国際交流や地方創生、アーティスト・文化の育成を目的に

16年ぶりとなる大竹伸朗の回顧展が東京国立近代美術館で開催!11月1日から

東京国立近代美術館では、大竹伸朗の回顧展「大竹伸朗展」が開催されます。 2006年に東京都現代美術館で開催された「全景1955–2006」以来、16年ぶりの開催となる大竹伸朗の大規模回顧展。 本展では、1982年の初個展開催から40

エドゥアール・マネが変えた絵画の歴史、「草上の昼食」など代表的な5作品について詳しく解説

「近代美術の父」と称される画家、エドゥアール・マネ(1832-1883年)。 彼は19世紀半ばに、近代化するパリの情景や人物、生活風景を、それまでの伝統的な絵画技法とは異なる形で表現し、印象派の画家たちとその後の美術史に多大な影響

TOP