現代アートとは?アートの歴史から見る現代美術の楽しみ方
同時代を生きるアーティストが現代社会の情勢や問題を反映し、批評性をもって表現する現代アート。
絵画以外にも彫刻などの立体、映像、インスタレーションなど、その手法は多岐にわたりますが、表現された問いと鑑賞者が対話することで作品は完成します。
ちょっと難しいと思われる現代アートですが、アーティストが投げかけた問いに耳を傾けると、新たな発見や思考が生まれてくるはずです。
今回は現代アートの基礎知識からアートの歴史、代表作品までを解説。
現代アートを楽しむきっかけになれば幸いです。
「アート診断」
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現代アートが「わからない」と言われる理由
オークションで現代アートが高額な値段で落札されると不思議思ったり、現代アートが展示されている美術館の作品を見て、頭にハテナマークが浮かんだことがあるのではないでしょうか?
古典絵画や彫刻のような分かりやすさがないと、「なぜこの作品がアートなのか」と考えてしまいます。
それが現代アートは難しいと言われるゆえんなのですが、現代アートは知的ゲームのようなものです。
現代アートの生みの親・マルセル・デュシャンは
「作品を起点として鑑賞者が思考をめぐらし、そして鑑賞者の中で完成される」
と語ります。
マルセル・デュシャンの登場から現代アートは、目で見て楽しむものから、考えて楽しむものになりました。
現代アートが生まれるまで
文字がない時代、人々は洞窟などの壁に狩猟の様子を描いていました。
その後様々な神々や神話が生まれ、芸術は信仰を支えるようになります。
識字率が低かった時代には聖書の内容を描くことで人々に神の偉大さを訴えかけ、王侯貴族や権力者、教会がお金を出して芸術家たちに作品を依頼するようになりました。
美術様式も時代とともに変化し、ロマン主義では写実的な様式が広まり戦争や農民の暮らしなどが描かれるように。
印象派が生まれたきっかけは絵の具チューブとカメラが誕生して、芸術家たちが屋外で自然な光を描くようになったからです。
印象派の画家セザンヌは自然の内にある複数の視点での美術的表現を探求し、セザンヌに影響を受けたピカソがキュピズムの手法を取り入れました。
美術史は革命の歴史と言えます。
現代アートとは
第二次世界大戦以降の芸術
第二次世界大戦以降、それまでヨーロッパで活躍していたアーティストたちは戦中から戦後まで好景気だったアメリカのニューヨークに亡命し、芸術の中心地もパリからニューヨークへ移行します。
当時ニューヨークで活躍するジャクソン・ポロックなどのアーティストを中心に、起点となる抽象表現主義が生まれました。
美術批評家クレメント・グリーンバーグとハロルド・ローゼンバーグにより、抽象表現主義はフォービズムなどヨーロッパ芸術の美術文脈の継承者とされ、戦後アメリカに芸術シーンが移行されていったのです。
マルセル・デュシャンの登場と現代アート
現代アートの父マルセル・デュシャン。
デュシャンは「観念の芸術」を提唱し、クールベ以降の目で受ける刺激や快楽を与えるだけの芸術を網膜的絵画と批判します。
目への刺激ではなく、精神に刺激を受けるアート、思考を生み出すアートを提唱し、芸術の概念や制度を問いました。
鑑賞者の思考の中で創造的行為が行われることで作品が最終的に完成するという、それまでのアートの常識を破壊したのです。
そのため美術史の変わり目ともされ、現代アートを語る時に「デュシャン以前、デシャン以降」という使われ方もされます。
「近代美術」との違い
近代以前の美術は宗教、権力者や王侯貴族のために描くプロパガンダ的な意味合いが強くありました。
近代になって国のありようが個人や資本主義に移り変わると、近代美術が生まれます。
近代美術はヨーロッパを中心とした芸術となり1860年代から第一次世界大戦まで続いたと言われています。
現代美術の始まりはデュシャンの「泉」以降、アメリカ中心の芸術で第二次世界大戦以降など複数の説がありますが、同時代性を表すため1990年代以降の作品を指すのが一般的です。
現代アートの鑑賞の楽しみ方
作品のコンセプトを知る
今までは色が綺麗、技巧が素晴らしいといった価値観を持っていた美術の世界は、デュシャン以降コンセプト重視に変わりました。
目から得られる情報だけでは作品を理解することは難しいので、作品のコンセプトを理解するためにも政治や宗教、社会背景などを理解する必要があります。
例えばドイツのアーティストであるヨーゼフ・ボイスは「すべての人間は芸術家である」と社会彫刻という概念を提唱しました。
代表的なプロジェクト「7000本の樫の木」の樫の木の根元には、玄武岩が一緒に埋められましたが、樫の木は生を、玄武石は死を象徴しこの二つで世界は構築されていることを表現しています。
現代アートを見る前に、押さえておきたい用語・ジャンル
コンセプチュアル・アート
コンセプチュアル・アートは、1960年代から70年代にかけて世界的に広まった前衛美術の動向です。
作品の美しさや技術の巧さといった従来の価値観ではなく、作品のアイデア、コンセプトの良さを問う芸術で、現代アートはすべてコンセプチュアル・アートとも言えます。
代表的な作品はジョセフ・コスースの「1つの、そして3つの椅子」です。
椅子、椅子の写真、辞書での椅子の定義の3つで1つの作品とし、そしてすべて椅子という概念を表しています。
インスタレーション
1970年代に始まったインスタレーションは、屋内や屋外に作品を設置して空間全体を作品化する手法です。
絵画や彫刻のように一点一点の作品を鑑賞するのではなく、その空間全体を鑑賞するため、鑑賞者は空間内を歩き回ったり、光や音を体感することもあります。
現在は映像やサウンド、コンピュータやセンサーを利用した対話的なもの、人工知能やバイオテクノロジーの利用も含めたインスタレーション作品などがあり多様化しています。
リレーショナル・アート
フランスの芸術評論家ニコラ・ブリオーは、1998年に発表した「関係性の美学」の中でリレーショナル・アートを提唱しました。
共同作業や出会いを通じて交わされる人間同士のつながりなど観客との関係性の要素が含まれているアートを指します。
リクリット・ティラバーニャは1990年にニューヨークのギャラリーでパッタイ(タイ風やきそば)を振る舞い、1992年、1995年にはタイカレーを振舞った観客とのコミュニケーションを重視するパフォーマンスで注目を浴びました。
メディアアート
1990年代から、科学の進歩によりコンピューターや電子機器などのテクノロジーを利用した芸術表現でもあるメディアアートが活発化してきました。
代表的な制作や表現方法には、コンピューターやセンサーなどを用いて鑑賞者の動きや熱を感知して作品に反映させる鑑賞者参加型のインタラクティブ・アート、WebサイトやSNSなどのインターネットを媒体としたインターネットアート、音や映像、光を空間全体に使うインスタレーションアートなどがあります。
パフォーマンスアート
パフォーマンスアートは1960年代以降に隆盛した、身体を媒介にした芸術表現です。
1960年代にアラン・カプロウが提言したハプニングやフルクサスのイベントが、パフォーマンスアートの先駆と言われています。
パフォーマンスが行われる場所は路上やギャラリー、美術館など様々です。
美術館で恒久的に展示されるものではなく、その場限りのパフォーマンスのため作品が美術館に回収されることを拒む反制度的な姿勢もありました。
サイト・スペシフィック・アート
サイト・スペシフィック・アートはその土地の環境や生活空間、歴史的、政治的、文化的な場の成り立ちなど、場所と作品の関係を構築し、特定の場所と結びついて存在する作品です。
雷が落ちやすいアメリカのニューメキシコ州の平原に400本のステンレス鋼を設置したウォルター・デ・マリアの「ライトニング・フィールド」や、フロリダの島々をピンクの布で囲んだり、パリ最古の橋のポン・ヌフを梱包したアーティストのクリスト&ジャンヌ=クロードなどが有名です。
有名な現代アーティストと代表作
マルセル・デュシャン「泉」
生年月日 |
1887年7月28日-1968年10月2日 |
ジャンル | コンセプチュアル・アート |
作品の制作年 | 1917年 |
コンセプチュアル・アートの先駆けで、20世紀の美術に最も影響を与えた作家の一人と言われています。
代表的な作品の「泉」は既成の男性用便器に”R.Mutt”と署名し展示しただけの作品です。
誰でも参加し展示ができるはずのアンデパンダン展ですら、当時「こんなものは作品ではない」と展示許可が下りませんでした。
しかしデュシャンはこの作品を通して、署名した男性用便器は美術館に展示されるとアートになりうるのか、そもそも芸術とは何か、そんな問いを投げかけたのです。
デュシャンは目の前にある美しい絵画がアートという概念から、作品を起点にして鑑賞者の頭の中に創造的行為が加わることをアートとしました。
ドナルド・ジャッド「無題」
生年月日 |
1928年6月3日-1994年2月12日 |
ジャンル | ミニマル・アート |
作品の制作年 |
1991年 |
ミニマル・アートを代表するアーティストの1人であるドナルド・ジャッドは、「スペシフィック・オブジェクト (明確な物体)」という概念を提唱しました。
作品がアーティストの心情や社会情勢などに結び付けられることなく、物体そのものが純粋な芸術として成立するのか、物質のもつ本質を極限まで追究。
作品に単純な色、直線などの線、面のみで構成し、木や鉄など産業で使われるような素材が用いられています。
1986年には美術家たちを支援するシナティ財団を設立、環境保護運動にかかわるなど社会的にも貢献したアーティストです。
草間彌生「黄かぼちゃ」
生年月日 |
1929年3月22日 |
ジャンル |
ハプニング・前衛美術 |
作品の制作年 |
1994年 |
「前衛の女王」「水玉の女王」と呼ばれる草間彌生は日本を代表するアーティストの1人。
幼いころより幻覚、幻聴に悩まされ、それから逃れるために埋め尽くすような水玉模様を描き、無限に反復・増殖した水玉の中に自分自身を埋没させることで世界と自分の境目をなくそうとしました。
かぼちゃは草間彌生の作品の中でもっとも有名なモチーフですが、生家が種苗業を営んでおり、かぼちゃが身近にある野菜であったことが影響しています。
「私がカボチャに造形的興味を受けたのは、その太っ腹の飾らぬ容貌なのだ。そして、たくましい精神的力強さだった。」と語っています。
李禹煥「関係項」
生年月日 |
1936年6月24日 |
ジャンル |
もの派 |
作品の制作年 |
1969年 |
李禹煥は韓国出身で、日本を拠点に世界的な活動をしている「もの派」のアーティストです。
もの派は石、木、紙、綿、鉄板、パラフィンといったものを単体で作品の素材として使用し、人の手を極力入れずにそれらを主役としてもののありようを表現した美術動向です。
李禹煥の「関係項」は、日々割れたガラスの板の上に大きな石が乗っている作品。
ガラス板のひびは、石がぶつかったときに割れたものと考えられる作品で、固い石とそれによって割られたガラスの関係が明確になるという、石との関係性によって成り立っていると解釈できます。
ジェームズ・タレル「Blue Planet Sky」
生年月日 |
1943年5月6日 |
ジャンル |
サイト・スペシフィック |
作品の制作年 |
2004年 |
ジェームズ・タレルはインスタレーションを多く制作しているアメリカ出身のアーティストです。
一貫して光と知覚の関係を表現しており、鑑賞者に光の存在を改めて認識させる作品を制作しています。
「Blue Planet Sky」は金沢21世紀美術館で無料鑑賞することができる常設展示作品。
「タレルの部屋」と呼ばれ、その空間を見上げると正方形の天井の中央部分にある正方形に切り取られた空があります。
部屋には壁に沿うようにベンチがあり、鑑賞者はその空間で絶えず移り変わってゆく空と光の変化を体感できる作品です。
杉本博司「劇場」
生年月日 |
1948年2月23日 |
ジャンル |
コンセプチュアル・アート |
作品の制作年 |
1993年 |
杉本博司はニューヨークを拠点に活動する日本を代表するアーティストの1人です。
一貫して個人の存在を超えた時間の積み重なりや流れを表現することをコンセプトとし、「劇場」以外にも「海景」「ポートレート」「蝋人形/恐怖の館」「陰翳礼讃」「建築」などのシリーズがあります。
「劇場」は古い映画館、ドライブインシアターや劇場で、大型カメラを使いスクリーンに映画が上映されている時間分の光量でシャッターを開き続け、長時間露光させた作品です。
長年映画を上映、もしくは演劇を上演していた劇場の時間を美しく浮かび上がらせています。
アニッシュ・カプーア「クラウド・ゲート」
生年月日 |
1954年3月12日 |
ジャンル |
彫刻 |
作品の制作年 |
2005年 |
1991年にはターナー賞を受賞した世界的なアーティストのアニッシュ・カプーアは、インド出身の現代彫刻家です。
ミニマリズムな有機的なフォルムの中に視覚認識や空間概念の問題を提起し、ヨーロッパのモダニズムと仏教、インド哲学などを統合させた作品を制作しています。
「クラウド・ゲート」はアメリカ、シカゴのミレニアム・パークに設置されたパブリック・アートです。
168枚のステンレス板を溶接してつなぎ合わせており、つなぎ目が分からないように鏡面になるまで研磨されています。
作品の表面が光を反射するため、その日の天候、周りの景色などにより都度表情を変える作品になっています。
ジェフ・クーンズ「Balloon Monkey」
生年月日 |
1955年1月21日 |
ジャンル |
ネオ・ポップ |
作品の制作年 |
2006-2013年 |
存命のアーティストの中で、作品がオークション最高額で落札されたことが話題になったジェフ・クーンズ。
レディ・メイドやポップ・アートの美術文脈の後継として、世俗的なイメージのものや大衆文化の既製品をモチーフに作品を展示することで、作品自体のキッチュさを表現しています。
風船のうさぎと花を鏡と一緒に構成した初期作品「Inflatable Flower and Bunny」など、既製品を使った作品を初期から変わらず制作しています。
「セレブレーション」シリーズはバルーンアートできた動物の造形を、鏡面加工したステンレスで制作された巨大彫刻作品です。
アンドレアス・グルスキー「99セント」
生年月日 |
1955年1月15日 |
ジャンル |
写真 |
作品の制作年 |
1999年 |
ドイツ出身の写真家アンドレアス・グルスキーは、近代産業の遺物的な建造物写真を撮影したベルント・ベッヒャーと妻ヒラの指導を仰いだ「ベッヒャー派」の一人としても有名です。
デジタル化が進んだ現代社会をパノラマ視点で撮影した巨大な写真を制作しており、国際的評価の高いアーティストです。
「99セント」は日本の100円ショップのように1点99セントで販売されるお店を撮影し、複数の画像からデジタルでつなぎ合わせる手法で製作されています。
99セントショップに無限の列のように陳列された商品が映し出されたこの作品は、抽象絵画のようだと評価されています。
フェリックス・ゴンザレス・トレス「無題(偽薬)」
生年月日 |
1957年11月26日-1996年1月9日 |
ジャンル |
リレーショナル・アート |
作品の制作年 |
1991年 |
キューバ出身のフェリックス・ゴンザレス・トレスはリレーショナル・アートの先駆け的存在として知られています。
代表作「無題(偽薬)」は、自身の体重とエイズで死去した恋人の体重と同じ重さ分のキャンディーを展示室の床に敷き詰め、観客は自由にキャンディーを持ち帰ることができるインスタレーション作品。
次の日には元の重さまでキャンディーが補充されます。
これは自身のエイズ体験の影響による死の過程を暗示した作品と言われ、フェリックス・ゴンザレス・トレスはエイズにより38歳の若さで亡くなりました。
蔡國強「壁撞き」
生年月日 |
1957年12月8日 |
ジャンル |
インスタレーション・キュレーション |
作品の制作年 |
2007年 |
中国・福建省で育ち、1986年ごろから日本に移り住んだ蔡國強。
火薬を爆発させて描いた「火薬絵画」のパフォーマンスが有名です。
また、風水や中国の伝統芸能、漢方や花火などから着想を受けて作品を多く製作している作家で、かつての毛沢東主義や社会主義のスローガンからの引用も作品に取り入れています。
1999年に、第48回ヴェネツィア・ビエンナーレでの金獅子賞受賞など多くの賞を得て世界各国から注目を集めるようになり、様々な展覧会のオープニングや大イベントに起用されて火薬や花火を使ったプロジェクトを行っています。
2008年の北京オリンピックの開会式・閉会式のビジュアルディレクターも務めました。
村上隆「マイロンサムカウボーイ」
生年月日 |
1962年2月1日 |
ジャンル |
スーパーフラット |
作品の制作年 |
1998年 |
日本のみならず世界中で活躍するアーティスト村上隆。
日本のハイカルチャーからローカルチャーまで一緒くたに消費されていくこと、江戸絵画などの日本美術が平面的に描かれていることから、スーパーフラット理論を提唱しました。
オタク文化の象徴でもあるフィギュアを等身大にすることで、西洋の美術文脈に日本のポップカルチャーやオタク文化を接合させたのが「マイ・ロンサム・カウボーイ」です。
2008年のサザビーズのオークションにて約16億円(1,520万ドル)で落札され、当時のアジア人アーティスト作品の落札最高額を記録し、世界のアートマーケットから注目されました。
ダミアン・ハースト「母と子、分断されて」
生年月日 |
1965年6月7日 |
ジャンル |
コンセプチュアル・アート |
作品の制作年 |
1993年 |
1990年代に頭角を現したヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)と呼ばれるコンセプチュアルアーティストたちの代表的な存在のダミアン・ハースト。
幼いころから死に関心があり、ゴールドスミス・カレッジ在学中には遺体安置所で働いて斬首された遺体の写真を撮影していました。
ホルマリン漬けにした牛と子牛を真っ二つに切断したこの作品では、鑑賞者は分断された牛の切断面を360度から鑑賞できます。
この衝撃な作品は1993年にヴェネツィア・ビエンナーレに出展され、賛否両論がありましたが1995年にターナー賞を受賞しました。
レアンドロ・エルリッヒ「建物」
生年月日 |
1973年~ |
ジャンル |
インスタレーション |
作品の制作年 |
2011年 |
ユーモアとウィットに富んだ、人の視覚・知覚を揺るがすような作品を制作するアルゼンチン出身のアーティスト、レアンドロ・エルリッヒ。
錯覚を使い、見慣れた光景が違和感を覚える空間に変わった時の人々の捉え方や関わり方を探求しています。
人が建物のファサードにぶら下がっている「建物」は、一見重力が存在しないかのように見えます。
実際のファサードは床に、その横には約45度の傾きの大きな鏡が設置されており、鑑賞者は鏡を見ながら思い思いのポーズを取って楽しむ観客参加型の作品です。
KAWS「The KAWS Album」
生年月日 |
1974年11月4日 |
ジャンル |
グラフィティアート |
作品の制作年 |
2005年 |
グラフィティアーティスト、トイデザイナー、彫刻家の肩書を持つKaws。
目がバッテンのキャラクター「コンパニオン」やスヌーピーなど、有名なキャラクターをモチーフにして、バルーンや彫刻にすることでアートとトイを融合させる作品を生み出しています。
「The KAWS Album」は、ザ・ビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」とアニメ作品シンプソンズがモチーフの作品。
サザビーズ香港で行われたデザイナー、実業家のNIGO®氏の個人コレクションオークション「NIGOLDENEYE® Vol. 1」で出品されて話題になったことでも有名です。
バンクシー「風船と少女」
生年月日 |
非公表 |
ジャンル |
グラフィティアート |
作品の制作年 |
2006年 |
イギリスを拠点に活動する覆面のグラフィティアーティスト、バンクシー。
政治や社会情勢への批判を世界各地の壁やストリートにゲリラ的に描く作風で、正体が謎のアーティストとしても有名です。
2006年に限定制作された「風船と少女」は2018年にロンドンのサザビーズで出品されました。
しかし落札終了を告げる木槌を鳴らした2秒後、作品が勝手に額から滑り落ちてシュレッダーにかけられてしまいました。
バンクシーは自身のインスタグラムにてその様子を「Going、going、gone …」と投稿し、「愛はごみ箱の中に」と作品タイトルを変更したのでした。
チームラボ「呼応するランプの森」
設立 |
2001年(チームの設立) |
ジャンル |
デジタルアート |
作品の制作年 |
2016年 |
チームラボは、猪子寿之をはじめ東京大学と東京工業大学の大学院生ら5名によって2001年に設立されたデジタルアーティスト集団です。
アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されています。
壁面が鏡となり、頭上には無数のランプが光っている「呼応するランプの森」は、ランプの近くで立ち止まると最も近いランプが強く輝き出すと同時にその周囲のランプ2つが呼応して光りだし、動くとそれが徐々に広がっていくという動的な美しさを表現したデジタルアートです。
今後注目すべき現代アートは?
NFTアート
ブロックチェーン技術を利用したNFTアート。NFTアートはデジタルアートや音楽などのデジタルコンテンツを、非代替トークン(NFT)化することで作られます。
NFTの特徴は、ブロックチェーンの暗号資産で所有が証明できること。
アート作品をNFT(非代替トークン)化することにより、その作品を自分が所有しているという正統証明になり、これまでの所有者来歴も確認可能になります。
最近では村上隆やバンクシーの作品もNFT市場で取引されており、今後の盛り上がりが期待されているアートです。
現代アートを鑑賞できる日本の美術館
金沢21世紀美術館
石川県金沢市にある金沢21世紀美術館は、妹島和世と西沢立衛のユニットSANAAによって、敷地内のどこからでも人々が訪れることができるよう特徴的な円形にデザインされています。
恒久常設展示にはレアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」、アニッシュ・カプーアの「L’Origine du monde」、ジェームズ・タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」があります。
金沢21世紀美術館詳細
開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:月曜日、年末年始
入館料: 展覧会によって異なる
ベネッセアートサイト直島
ベネッセアートサイト直島は、瀬戸内海の直島・豊島・犬島を中心に、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人福武財団が展開しているアート活動の総称です。
直島には草間彌生の「黄かぼちゃ」「赤かぼちゃ」をはじめ、直島銭湯「I♥湯」や世界的建築家である安藤忠雄設計の地中美術館、家プロジェクトなど多数のアートスポットがあります。
3年ごとに瀬戸内国際芸術祭が開催されています。
直島銭湯「I♥湯」詳細
開館時間:13:00~21:00
休館日:月曜日
入館料: 一般660円、15歳以下360円 3歳未満無料
もっと現代アートを楽しむ
現代アートとは何か
オークションやギャラリーで高額で取引される現代アート。
アート業界にはアーティストはもちろん、キュレーター、評論家、ギャラリー、そして市場価格を左右するスーパーコレクターなどが登場します。
アートジャーナリズムの第一人者が、世界のアートマーケットはどのように動いているのかを伝えてくれる一冊です。
発売日 : 2018/3/24
現代アート、超入門!
今まで現代アートを観ても良く分からないので心に響かず右も左も分からないけど、少しでも分かるようになって楽しみたいと思っている方に、現代アートとの付き合い方を教えてくれる一冊です。
コンセプチュアル・アートのきっかけとなるデュシャンの「泉」から解説されています。
発売日 : 2009/3/17
現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル
現代アートの始まりとも言われる第二次世界大戦後に生まれた様々な芸術運動と、当時の社会情勢がどのように向かい合っていったのかについて社会とアートをテーマに解説されています。
現代アートのコンセプトとはどういう意味なのか、社会情勢の中で生まれた芸術運動とは何かを知りたい人にオススメです。
発売日 : 2019/10/16
現代アーティスト事典 クーンズ、ハースト、村上隆まで
現代アートの本を読んでいると知らない言葉やアーティスト、芸術運動などの動向の名前が出てくることも。
「現代アーティスト事典 クーンズ、ハースト、村上隆まで」は美術手帖が出版した現代アート事典で、現代アートに関する単語が網羅されています。
現代アートを時代ごとに掲載しているため、教科書的な使い方もできる便利な一冊。
発売日 : 2012/10/3
まとめ
現代アートのあり方を一言で言うなら、鑑賞者と作品の思考の対話です。
一見難しいと感じても、その背景を知ることで身近に感じる作品も多く、新たな体験ができる世界へとはまっていけるのが現代アートの鑑賞の楽しさです。
知的ゲームをしているような気軽な気持ちで現代アートを鑑賞してみてくださいね。
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