釈迦三尊像
Shaka Triad
伊藤若冲
作品解説
1765年に「動稙綵絵」のうち24幅とともに相国寺に寄進されたのが、この「釈迦三尊図」。両親と弟、若冲自身の永代供養を願うもので、重要な法要の際に並べて飾り参詣者に公開されたため、若冲の名は万人に知られるところとなりました。「動稙綵絵」は後に明治天皇に献納され宮内庁の所管となりましたが、この三幅は今も相国寺に保管されています。中幅に描かれているのは、須弥座の上に坐して説法印を結ぶ釈迦如来像と弟子の阿難、迦葉です。右幅は蓮台に坐す文殊菩薩像とそれを支える青獅子、その手綱をとる優填王。左幅は崑崙奴が手綱をとる六牙白像の上の蓮台に坐す普賢菩薩像です。東福寺に伝来した張思恭筆と伝えられる古画「釈迦三尊像」を模写したものですが、若冲独自の鮮烈な色彩と迫力を持ったものに生まれ変わっています。現在原本は、中幅の釈迦像をクリーヴランド美術館が、左右幅の普賢・文殊像を静嘉堂文庫美術館が所蔵しています。若冲は商家の主として務めを果たしながら、絵画と仏教、特に禅へ傾倒していきました。1755年に40歳で隠居した後、1759年には鹿苑寺大書院の障壁画も手掛けています。
制作年
1761年頃-1765年頃
素材/技法
絹本着色 三幅
制作場所
日本