象と鯨図屏風

伊藤若冲

作品解説
この絵は北陸の旧家に伝わったもので、2008年の夏に発見され、鑑定の結果若冲の真筆と判断されるに至りました。六曲一双の左右に、勢いよく潮を吹く鯨とうずくまって鼻を高々とあげた象を対置させて描いた水墨画です。柔和で伸び伸びとしたタッチで、子供のような純真さが感じられます。鯨が垂直に勢いよく吹き上げる潮や、ぬいぐるみのようなフォルムの象。鑑定を担当したMIHO MUSEUMの辻惟雄氏は、動物が好きだった若冲が単なるスケッチではなく親愛のまなざしで描いた、生涯純粋な子供心を失わなかった若冲らしい絵、と評しています。若冲の絵にしばしば表れる可愛らしさ、思わず笑いがこみ上げるような稚気、そういったものが如実に表れた絵と言えるのではないでしょうか。
制作年
1795年
素材/技法
紙本墨画 六曲一双
制作場所
日本
所蔵美術館
    個人蔵
ジャンル