百犬図

Dogs

伊藤若冲

作品解説
白、黒、茶の様々な毛色と模様の仔犬で画面が埋め尽くされた、一頭一頭ゆっくり眺めるだけで楽しくなってしまいそうな絵です。「「百犬図」というタイトルですが、仔犬の数は実は59匹なんだとか。若冲が亡くなる一年前、1799年に描かれた作品です。このような「○○づくし」の絵はこの時代によく見られた趣向で、若冲の他の作品だと、「魚づくし」の「諸魚図」「群魚図」、「獣づくし」「鳥づくし」の「樹花鳥獣図屏風」などがあります。絵のテーマについては、犬の子供を「狗子」(くし)ということから、「百狗子」(ひゃくくし)→「百子」(ひゃくし)という語呂合わせで童子が遊ぶ「百子図」に見立てたという説、犬が安産、多産の象徴であったことから、子孫繁栄を願う意図が込められているという説などがあります。それらの意味あいを抜きにしても、仔犬の描写の繊細なタッチと愛らしさに、若冲が仔犬に向けた愛情を感じ取って気持ちが温かくなるような作品ですね。
制作年
1799年
素材/技法
絹本着色 一幅
制作場所
日本
所蔵美術館
    個人蔵
ジャンル