葡萄図襖絵(鹿苑寺大書院旧障壁画)
伊藤若冲
作品解説
京都・鹿苑寺(通称金閣寺)の大書院の四間、および狭屋之間の床壁と襖には、若冲によって障壁画がそれぞれ描かれています。これらは水墨画の分野において、若冲が完全に独創的境地を確立した傑作として、高く評価されるもので、重要文化財に指定されています。大書院は1684年から88年にかけての建立、その後1759年に龍門承猷が住持となった記念に、その師にあたる大典禅師・梅荘顕常が当時交友関係にあった若冲へ依頼し、障壁画が描かれる経緯となりました。若冲44歳の時、家督を弟に譲り本職の画家となってからわずか4年目のことです。「葡萄図」は大書院の一之間を飾った襖絵です。大書院は法要の後に食事をしたりお茶会に使ったりするのに使用した部屋。「葡萄図」はその空間に趣を添えるものでした。自由奔放にしなう葡萄の蔓が美しい弧を描き、その弾力と房の重みが感じられそうです。余白、しなやかさ、枯淡の潔さ。若冲の筆力が存分に踊る水墨画の最高傑作です。
制作年
1759年
素材/技法
襖絵四面 紙本墨画
制作場所
日本