仙人掌群鶏図

Cuctus and Fowls

伊藤若冲

作品解説
大阪・西福寺の本堂を飾る襖絵で、若冲晩年期の傑作がこの「仙人掌群鶏図」です。襖六面の左右両端に奇怪な形のサボテンが、それに挟まれる格好で計10羽の鶏と7羽のひよこが描かれています。鶏は若冲が最もよく描いたモチーフで、代表作「動植綵絵」でも「南天雄鶏図」など数多く見られますが、その頃の作品とこの「仙人掌群鶏図」では、描かれ方に違いがあります。「南天雄鶏図」に代表される「動植綵絵」制作期の若冲の鶏は、表現美・様式美に貫かれ、真に迫った写実性とイマジネーション豊かな幻想性の入り混じる独創的な描写が特徴でしたが、この作品では、鶏を擬人化したような描写の中に家庭的で微笑ましい親しみ深さを感じ取ることができます。この時期の若冲は、天明の大火で住まいと資産を失い、一時的に大阪に滞在したと言われています。裕福な商家の主であった若冲が世間の中に身を置いたこの時期、何か感じるところがあったのかもしれません。
制作年
1789年
素材/技法
紙本金地着色 襖六面
制作場所
日本
所蔵美術館
    西福寺
ジャンル