氷図屏風

Cracked Ice

円山応挙

作品解説
円山応挙のこの作品は2曲の屏風の下半分に墨で直線が描かれただけの、一見平凡な作品です。しかし『氷図屏風』というタイトルを知ると、この作品の素晴らしさがわかります。円山応挙は氷を墨の線だけで巧みに表現しています。円山応挙は1733年に生まれ、京都画壇を牽引した円山派の始祖であり、近世の日本の画家のなかでも際立って「写生」を重視したことで知られていますが、この作品ではシンプルかつ大胆に氷の冷たさを表しています。また遠近法を用いながら画面下にだけ氷を描くことで、見る者に自分が氷の上を歩いているような感覚を味合わせます。『氷図屏風』は2曲1双の屏風なので、必然的に内側に折り曲げて飾られますが、応挙はこのことも考慮した遠近感で製作していたと考えられます。
制作年
1780年
素材/技法
絹本墨画淡彩
制作場所
日本
所蔵美術館
    大英博物館
ジャンル