七色の富士

草間彌生

作品解説
草間彌生が日本伝統の浮世絵に挑戦した作品が、この「七色の富士」です。版画を担当したのは、浮世絵版画職人集団「アダチ版画研究所」。最初に草間が大画面の油彩画「富士山」を描き、アダチ版画の職人が彫りと摺りを受け持ちました。当初はひとつの木版画「草間富士山」だけを制作する予定でしたが、アダチ版画の現場からの意見をもとに色変わりのバージョンが制作されることとなり、「七色の富士」として完成しました。14,685個にも及ぶ細やかな空の水玉の表現に、木版画独自の鮮やかな山肌の色合い、悠々と裾野を広げてそびえる富士山の存在感、生命力が素晴らしい作品です。七色に摺り分けられた富士山に草間は感動し、それぞれに即興で次のような詩を詠みました。『赤富士:生命は限りもなく、宇宙に燃え上って行く時/青富士:宇宙や人類の生命のありか/縁富士:命の限り愛してきたわたしの富士山のすべて/桃富士:やさしさに溢れた万物はわたしの心を打った/茶富士:富士山、わたし大好き/黄富士:永遠に輝く我が命、この人間愛は何憶後年も滅びる事はない/黒富士:われわれの魂の沈んでいった果てに、この黒々とした山はすべてを愛に包んでしまう』
制作年
2015年
素材/技法
木版画
制作場所
日本
所蔵美術館
    アダチ伝統木版画技術保存財団 常設展示場
ジャンル