私の魂を乗せてゆくボート
草間彌生
作品解説
京都・祇園に屋を構える「フォーエバー現代美術館 祇園・京都」、2階にある第4展示室の大広間の舞台上で、松の絵とのコラボで独特な凄みを放つのが立体作品「私の魂を乗せてゆくボート」です。既製品の手漕ぎボートの表面を、布製の突起物で覆い尽したソフト・スカラプチュアのひとつ。同じくソフト・スカラプチュアで無数の男根を表現した「The Man」や「トラヴェリング・ライフ」を思い起こさせます。これら無数の突起物が表現するものは、終わりのない増殖、反復。無限に生え出るような色鮮やかな突起に覆われたボートは、永遠の海へ漕ぎ出していくのか、それともそこに乗っている私の魂が無限なのでしょうか。もともと秋田で活動を展開してきたフォーエバー現代美術館が祇園に移ったのは2017年。その建物は、都をどりの会場として知られる有形文化財、祇園甲部歌舞練場内の「八坂倶楽部」。大正2年に建てられた伝統的日本建築の建物です。建物が内包する悠久の時間と歴史の厚みとともに、舞台上に草間による幽玄の世界が佇んでいるかのようです。
制作年
1991年
素材/技法
ソフトスカルプチャー
制作場所
日本