シリーズ「ポートレイト」

Portraits

杉本博司

作品解説
「ポートレイト」は杉本博司の制作のシリーズのひとつで、「マダム・タッソー蝋人形館」に展示されている偉人や有名人たちの蝋人形を撮影した作品です。16世紀の肖像画を思わせる照明や雰囲気を意識して撮影された人形たちからはあたかも生きているかのような強烈な生命力が感じられます。蝋人形として既にコピーとして作られたものを、さらに写真でコピーすることによって、何がオリジナルで何がコピーなのかが分らなくなります。鑑賞者はその奇妙な感覚の先に、日常の中に潜むオリジナリティーの捏造を思わず疑ってしまうのです。「ジオラマ」シリーズに続いて、写真によって、生命のないものに命を蘇らすことに挑戦したシリーズとも言えます。
制作年
1999年〜
素材/技法
ゼラチン・シルバー・プリント
制作場所
イギリス