アウトサイダー・アート

outsider art / Art Brut
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アウトサイダーアートとは、西洋美術の正規教育を受けておらず美術業界の外部にある人たちによって制作された作品のことを指します。
こうした作品に最初にスポットを当てたのはフランスの画家J・デュビュッフェです。彼は精神疾患の患者や子供が描いた絵を「アール・ブリュット」と呼び、その独創性を高く評価しました。
「アール」は芸術、「ブリュット」は、まだ磨かれていない、加工や変形をこうむらない、生のまま、自然のままという意味の形容詞です。
J・デュビュッフェは、1945年からスイスやフランス各地の精神病院、監獄などを訪れ作品の蒐集を開始。1948年には「アール・ブリュット協会」を設立、1976年にはコレクションのすべてをローザンヌ市に寄贈し、「アール・ブリュット・コレクション」がオープンしました。
「アウトサイダーアート」は、アール・ブリュットを英語に言い替えるものとして、1972年イギリスの美術評論家ロジャー・カーディナルが作った言葉です。カーディナルは同タイトルの著書の中で、アウトサイダーアートを「『表現に対する衝動』を持つ制作者が『因習的な美術史の文脈化を拒み、管理されていない方法においてその衝動を具現化』した芸術を示す」と整理し、精神障害を持つ作者によるものだけでなく、美術界の主流の外側で制作する人々の作品にまで概念を拡げました。
それ以降、カーディナルの定義がアウトサイダーアートの判断基準となり、プリミティブ・アートや民族芸術、ホームレスの作品なども含められるようになりました。
アウトサイダーアートはアートワールドとは別の独立したカテゴリーとなり、ひとつのマーケットを生成しています。1993年からはニューヨークで年に一度「アウトサイダー・アート・フェア」が開催され、「RAW VISION」「Osservatorio Outsider Art」などの専門誌も多数存在しています。
関連アーティスト
アドルフ・ヴェルフリ,ジャン・デュビュッフェ,ヘンリー・ダーガー,山下清
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