戦争画

war paintings

https://media.thisisgallery.com/wp-content/uploads/2018/12/20140511232945.jpg

戦争の場面や戦時下の市民の生活を描いた絵画を指し、古くはギリシア・ローマ時代、日本でも鎌倉時代あたりから合戦画が描かれていますが、近現代の日本美術史では、第2次大戦時に従軍画家を中心に描かれた画を指して「戦争画」と言うことが多いです。国威発揚のために描かれた多くの作品は敗戦とともに失われましたが、戦後アメリカに接収された151点が、現在無期限貸与という形で返還され、東京国立近代美術館に所蔵されています。代表的な作品は、藤田嗣治「アッツ島玉砕の図」(1943)をはじめ、中村研一「コタ・バル(上陸作戦)」(1942)、宮本三郎「山下・パーシバル両司令官会見図」(1942)、鶴田吾郎「神兵パレンバンに降下す」(1942)など。1938年に制定された国家総動員法にもとづいて総力戦体制が敷かれると、そのほか石井伯亭、藤島武二、伊原宇三郎、小磯良平などの画家が戦地に派遣され、おびただしい戦争画が描かれました。39年には陸軍美術協会が結成され、「聖戦美術展」や「大東亜戦争従軍画展」などが開催されました。日本の戦後美術において「戦争画」は長らくタブーとされ、著作権者の難色や日本の侵略したアジア諸国への配慮などから、東京国立近代美術館所蔵の作品もいまだに全面公開には至っていません。美術評論家・椹木野衣と美術家・会田誠は共著書「戦争画とニッポン」(講談社2015年)の中で「戦争画は依然まったく、終わっていない」「過去のもろもろは、未来を映す複雑に屈折した鏡」と警鐘を鳴らします。わたしたちは戦争画をタブー視し忌避するのではなく、現代の自分たちと国家の向き合い方を考えるために、画家たちの戦争協力のありようを知るべきなのかもしれません。

関連アーティスト
藤田嗣治,岡本太郎,宮本三郎,パブロ・ピカソ,中村研一,伊原宇三郎,小磯良平,藤島武二