ヒヤシンス姫

Princess Hyacinth

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
1911年プラハの国立劇場で初演されたバレエ・パントマイム「ヒヤシンス姫」の宣伝ポスターとして、制作された作品です。このバレエ・パントマイムはある鍛冶屋の夢の物語で、夢の中で彼の娘ハニチカは魔術師に攫われて「ヒヤシンス姫」になり、貴族や錬金術師など3人の求婚者たちと恋と冒険の物語を繰り広げます。ハニチカ=ヒヤシンス姫を演じたのはチェコでもっとも有名な女優であるアンドゥラ・セドラチコヴァーで、ミュシャはこのポスターの中で彼女を、強い意志と肉体を持った女性として描きました。彼女は大きな椅子に悠然と腰かけてまっすぐ前を見つめる青い瞳が印象的です。鍛冶屋の娘であることをはっきりと示す逞しさのある手、スラブ風の衣装など、ミュシャは強く歩もうとする祖国やスラブ女性への称賛を絵に込めました。少女の背後のフレームには、鍛冶屋の道具、錬金術師の実験器具、貧乏騎士と城主の冠や魔法使いの怪物など舞台に登場する様々なモチーフを描き込み、ストーリーを暗示しています。
制作年
1911年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
チェコ
所蔵美術館
    ミュシャ美術館