連作「四季」

The Seasons (series)

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
「四季」は1896年に制作された装飾パネル画で、ミュシャの初めての装飾パネル画になります。ミュシャの出世作であり代表作でもある「ジスモンダ」と共に、彼の人気を不動のものとした作品として知られます。装飾パネル画とはポスターから宣伝用の文字要素を取り除いたものであり、これは四季をそれぞれの季節に合う花や草木で表現した「月暦画」の一種。出版業を営む編集者レオン・デシャンと印刷業者シャンプノワの依頼により制作され、大きな人気を博しベストセラーとなりました。1枚ずつばらして四季それぞれのカレンダーにしたり、商品の宣伝ポスターに転用されたりもしています。1年の季節感をいかに表現するかがその画家の個性と力量になりますが、この連作ではミュシャらしく、すべて若い女性が季節として擬人化されています。金髪の女性と小鳥たちの触れ合う春のイノセンス、足を水に浸して意味ありげな眼差しでこちらを見る夏の情熱、豊かな髪と肉体の女性が葡萄を摘む秋の実り、白い衣装に身を包む女性が凍えた鳥を暖める冬の冷たい空気。写実表現と平面的描写の対比や明確な輪郭線による強調表現など、ミュシャの芸術の独自性が溢れる作品です。
制作年
1896年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス
所蔵美術館
    ミュシャ美術館