サロン・デ・サン

Poster for 'Salon des Cent Mucha Exhibition June 1897'

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
この作品は、ラ・プリュム芸術出版社の運営する展示会場「サロン・デ・サン」で1897年6月に開催された「ミュシャ展」の宣伝のために制作されたポスターです。この展覧会はミュシャにとっては2回目の個展でした。個展は雑誌「ラ・プリュム」で特集を組まれるなど開催時から人々の注目を集め、その大成功によりミュシャは名声を確固たるものとしたのです。ポスターの少女が身に着けているチェコの民族衣装と頭飾りは、ミュシャの愛国心とアイデンティティの現れです。また少女が手に持つ描かれた3つの輪とハートは、宗教的な観念としての「希望」「信仰」「受難」そして「愛」を意味すると同時に、スラヴ連帯の運動「ソコル」やチェコの国の木であるスラヴ菩提樹の葉の形を表しているとも考えられています。表現技法は、曲線を多用し優美で洗練された装飾性が際立つ、典型的なアール・ヌーヴォー様式の手法。このポスターは後世の日本にも影響を与えています。与謝野晶子やその夫与謝野鉄幹らが活躍した雑誌「明星」では、ミュシャの他のポスターと共にしばしば取り上げられることとなりました。新しい芸術雑誌「明星」にふさわしいデザインと評価されたのでしょう。
制作年
1897年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス
所蔵美術館
    ミュシャ美術館