黄道十二宮

Zodiac

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
リトグラフ工房シャンプノワ社のノベルティカレンダーとして制作された作品です。シャンプノワ社はその後、ミュシャと組んでアール・ヌーヴォーの代表作を次々に生み出していくのですが、その両者の初めての契約作品となります。その後「ラ・プリュム」の編集長レオン・デュシャンの目に留まり、雑誌の1897年用カレンダーにもなって非常に人気を博したので、この作品は現在でもよく知られたミュシャの代表作のひとつとなっています。「黄道十二宮」は1年を表す星座のこと。ミュシャはこれらの星座に加え、不滅のシンボルの月桂樹、昼と夜を表す日月、昼と夜の象徴 ヒマワリとケシなどを用い、カレンダーを時の象徴で飾りました。中央に配置された美しい横顔を見せる女性の、髪飾りや首飾り、波打つ髪の美しさは、単なる装飾ではありません。視線を惹き付け、さらに渦巻いて伸びる髪を導線にカレンダーへと導く実用的な働きをしています。このような実用効果を引き出すデザインテクニックこそ生活の芸術化を理想とするアール・ヌーヴォーの特徴なのであり、この「黄道十二宮」はミュシャ作品の中でも完成度の高い作品であると言えるでしょう。
制作年
1896年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス
所蔵美術館
    ミュシャ美術館