メディア

Poster for 'Medee'

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
1898年、ルネサンス座で上演されたギリシャ悲劇「メディア」の宣伝のために制作されたポスターです。「メディア」の主演は、「ジスモンダ」以来ミュシャとポスター契約を結んでいる大女優サラ・ベルナールでした。ポスターに描かれているのは、復讐のためにメディアが息子を短剣で殺害してしまうという劇中の最高潮の場面で、メディアは愕然と目を見開き、血のついた短剣を手にしながら観客へ狂気的な視線を向けています。足元には刺殺した息子たちが折り重なるように崩れ落ち、背後には不吉な鈍い色味の朝日が象徴的に配置されています。ミュシャはメディアの激しく崇高な性格を、腕に巻いた蛇で表現しました。サラ・ベルナールはそれを気に入りミュシャに蛇のブレスレット制作を依頼。ミュシャがあらためてデザインしジョルジュ・フーケが制作した「蛇のブレスレットと指輪」は、ミュシャスタイル宝飾の傑作であるとともに、ミュシャ、フーケ、サラ・ベルナールという19世紀末の芸術家の最高峰3人の粋が結実した作品として、世界の宝と称えられます。
制作年
1898年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス
所蔵美術館
    ミュシャ美術館