連作「四つの花」

The Flowers (series)

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
この作品は、1896年の連作「四季」の成功により数多く制作された4部作の装飾パネルの中のひとつで、ミュシャが最も得意としていた花がモチーフに使われたものです。カーネーション、ローズ、リリー、アイリスの4つの花を各パネルにそれぞれ配置し、優美な女性像として構成。ミュシャの作品の中でも、当時特に人気が高かったことが知られています。端正な顔立ちの理想化された女性像が正面から捉えた姿で描かれ、厳格性や高い拡張性、安定性を感じさせます。女性の描写の左右非対称的で滑らかな曲線美、匂い立つような美しい花々が周囲を取り囲むような構成、アール・ヌーヴォー様式の特徴的な装飾性が全体として見事な調和を奏で、ミュシャの作風と当時の人々の好みや流行を融合しデザインとして展開した、高度な完成度を持つ作品と言えるでしょう。
制作年
1898年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス