連作「四つの星」

The Four Stars(series)

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
「四つの星」は装飾パネルの最後のシリーズになり、1902年に発表されました。ミュシャには珍しく天体をモチーフとした連作であり、他の連作装飾パネルとはかなり色調などの雰囲気が異なっているのが特徴です。夜の星の美しさや神秘的輝きを表現するため、当時のミュシャとしては珍しい暗色をメインに使用しており、それまでのミュシャの華やかで温かさを感じさせる作品とは明らかに異なる性質の作品です。しかしこれ以降のミュシャの作品では、このような独特の象徴性を感じさせる表現が特徴的な様式として現れるようになり、この連作「四つの星」はその先駆けを感じさせるという点でも、重要視されています。主題となる星は直接的に描かれるのではなく、女性の肌を照らす光として間接的に表現されます。また絵に配置された花は単なる装飾ではなく、それぞれの星にふさわしい意味合いを添えています。「宵の明星」には夕刻の訪れをイメージさせるカンパニュラ、「暁の明星」にはその輝きにふさわしい月桂樹、「月」には眠りの象徴の白ケシ、「北極星」には「アルプスの星」と呼ばれるエーデルワイスがそれぞれ配されているのです。
制作年
1902年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス