モナコ・モンテ・カルロ
Poster for 'Monaco - Monte Carlo', P.L.M. railway services
アルフォンス・ミュシャ
作品解説
パリ・リヨン・地中海鉄道会社による、モナコのモンテ・カルロへの観光客誘致のために制作されたポスターです。1858年に設立されたこの会社は、パリからディジョン、リヨン、マルセイユなどを結ぶフランス南東部の一大鉄道網を運営し、当時フランス領であったアルジェリアにも鉄道を所有していました。モナコ公国は主権を保つため1860年に国土の95%をフランスへ割譲し、わずか2平方kmの小国となったため、カジノとホテルの超高級リゾート地へ転身することで起死回生をはかりました。1867年にはモンテ=カルロ駅が開業し、パリ、リヨンと直通の鉄道で結ばれました。ポスターには「パリからモンテ=カルロまでデラックス列車16時間の旅」と書かれています。地中海のバカンスへパリ市民を誘うポスターなのです。長く伸びる花環の曲線的なラインと空を見上げる女性の視線が見る人の目を誘導し、「MONACO MONTE-CARLO」の地名を記憶させます。数多くのポスターで使われているミュシャのデザイン・テクニックのひとつです。
制作年
1897年-1897年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス