連作「四芸術」

The Arts (series)

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
西洋美術特有の美術系式「アレゴリー(寓意画)」。抽象的な概念を擬人化の手法を使って表現するもので、この「四芸術」はダンス、絵画、詩、音楽の4つの芸術をアレゴリーとして表したものです。絵画は色彩、音楽は音、ダンスは動き、詩は黙想といったそれぞれの特性を、女性のポーズと花によって表現。それぞれの芸術分野の擬人化だけでなく、異なる時間帯とともに描いています。このアレゴリーの特徴的なところは、ダンスという芸術を選んでいるところです。古来の四芸術の象徴表現では、詩、絵画、音楽のほかには彫刻が入っていることが多く、ダンスというジャンルは珍しいものです。19世紀末のパリではロイ・フラーやイサドラ・ダンカンらにより斬新で即興的な踊りが生まれ、今日のモダンダンスやコンテンポラリーダンスに繋がりました。当時のミュシャも、そのような新しい芸術の潮流からインスピレーションを得ていたのでしょう。また絵画の作品において、パレットや絵筆をもった人物ではなく赤い花を見つめる女性を描いているところも特徴的です。画家が作品世界に自然の姿を写し取る芸術的な精神を描いているのでしょう。
制作年
1898年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス
所蔵美術館
    ミュシャ美術館