ハムレット

Poster for 'Hamlet'

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
サラ・ベルナール主演の「ハムレット」の宣伝のために制作されたポスター作品で、これは「ジスモンダ」に始まるミュシャとサラ・ベルナールに名声と評判をもたらした一連のポスター・シリーズにおいて、最後の作品になりました。このポスターの前まで、サラ・ベルナールはオフィーリアの役を女優として演じていました。しかしその前の「ロレンザッチオ」で演じた男役が当たり、サラは初めて男装のハムレット役に挑戦します。結果としてそれまで以上の好評を博すこととなり、「ハムレット」はサラ・ベルナールの十八番のひとつになりました。画面にはサラ・ベルナール扮するハムレットが横顔を見せて立ち、その下には死んだオフィーリアが横長の浮き彫りのように描かれています。劇の進行において重要なハムレットの「剣」は、ポスターでもデザインの要になっています。ハムレット黒衣と鋭いコントラストを見せつつ画面を切り裂き、オフィーリアの心臓に真っすぐ向いているのです。剣の存在感が画面の安定を破って見る人の注意を呼び、バックの夜景や黒い衣装、ケルト文様の曲線との対比が、相乗的に剣の効果を高めています。
制作年
1899年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス
所蔵美術館
    ミュシャ美術館