連作「四つの時」

The Times of the Day (series)

アルフォンス・ミュシャ

作品解説
女性のポーズ、背景と明るさなどの変化で、朝、昼、夕、夜の一日の四つの時を表した、装飾パネルシリーズのうちのひとつです。周囲の装飾パターンを4パネル共通にして統一感を出しつつ、朝はシャクナゲ、夜はケシとそれぞれの時間帯を連想させる花を配置。女性の髪の色は朝から夜にむかって明るい色から少しづつ濃くなっていき、またポーズの変化にともなって、頭の位置は昼に一番高くもたげられ、夜に向かうにつれて徐々になだらかに、眠りにつくかのように低くなっていきます。昼を表わす女性は、朝、夕、夜の自然なポーズに比べ、堂々と前を向き昂然と高い位置を見据えるような、特徴的なポーズを取っています。これは「四つの宝石」シリーズのアメジストの女性とよく似ており、同様のポーズを日本の新芸術雑誌「明星」の挿絵にも見ることができます。直接の影響を証明するものは確認できませんが、ミュシャの仕事に注目ししばしばそのポスターを誌面で紹介していた「明星」の与謝野鉄幹やデザイナーたちが、「四つの時」「四つの宝石」にも関心を持って見ていたことは十分に考えられるでしょう。
制作年
1899年
素材/技法
リトグラフ
制作場所
フランス
所蔵美術館
    ミュシャ財団