ムラート

"(シカゴ)Kitchen Scene|(アイルランド)Kitchen Maid with the Supper at Emmaus|"

ディエゴ・ベラスケス

作品解説
「ムラート」はベラスケスの初期の作品で、マドリードに行く直前ごろに描かれたものと推測されています。ムラートというのはスペイン語で白人とアフリカ系黒人の混血を差す言葉で、主に厨房で働くメイドのことを言います。少年は薄暗い厨房に溶け込むかのように暗く描かれているのに対して、少年のかぶりものと水指などの用具は浮き上がるようにリアルに描かれており、まるで「ムラート」は道具よりも影のうすい存在だと訴えているかのようです。この作品のタイトルは日本では「ムラート」として定着していますが、英名は「Kitchen Scene(キッチンのシーン)」、ムラートは黒人の奴隷の子供を意味するため、差別主義だと受け取られないための配慮でしょう。
制作年
1618年 - 1622年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
セビーリャ
ジャンル