ジャガイモを食べる人々
The Potato Eaters
フィンセント・ファン・ゴッホ
作品解説
オランダのニューネン在住時に描かれた、ゴッホ初期の傑作です。この作品には4つのバージョンが存在し、その習作の1つはクレラー・ミュラー美術館に、リトグラフはMoMAのコレクションに入っています。貧しい労働者階級の家族がじゃがいもの食卓を囲む情景を描いた作品で、宗教画にも通じる聖性と貧しい労働者への深い共感が滲み出ています。ゴッホは青年時代に伝道師として炭鉱地帯の貧しい人々の生活に交わる経験があり、農民の労働の姿を描くことこそが本質的に現代的な人物画であるという確信を持っていました。ゴッホはこの作品を制作した後、「僕はこの絵で何よりも、ランプの下で皿に盛られた馬鈴薯を食べる人々の手が、大地を耕していた手であることを明確に表現することに力を注いだ」という言葉を残しています。素朴な筆致でありながらゴッホの主題に対する真摯な態度の表れ出るこの絵は、彼の修行時代の総決算と位置付けられるでしょう。ただ、弟のテオをはじめ当時のパリの人々からは、評価されませんでした。
制作年
1885年
素材/技法
油彩
制作場所
オランダ