雨の大橋

Bridge in the Rain (after Hiroshige)

フィンセント・ファン・ゴッホ

作品解説
この作品は、ゴッホの日本趣味に対する強い憧れが如実に見える、浮世絵師の歌川広重の錦絵「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」を忠実に模写した作品です。32歳の時に移住したパリでゴッホは浮世絵と出会い、その構図や色彩感覚、線描画法などを自身の中に取り込んでいきました。この作品の最大の特徴は雨の描写です。この描写の仕方こそ、原図である「大はしあたけの夕立」の最大の特徴であり、西洋の絵画表現と大きく異なるところです。上空から降る雨は複数の長い斜線で描写されます。この錦絵独自の躍動感ある個性的な表現に惹かれて、ゴッホは模写を試みたのだろうと推測されています。大胆な構図で描かれる大橋や斜めに傾く水平線なども、ゴッホの心を捉えた点でしょう。原図にはない漢字による装飾は、日本趣味的表現を強調しようとして加えられたと推測されています。
制作年
1887年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
フランス
所蔵美術館