人生の3段階

The Three Ages of Woman

グスタフ・クリムト

作品解説
幼少期、若年期、老年期という人間の人生の段階を、3人の女性の姿を通じて表現した作品です。1911年のローマ国際美術展で金賞を受賞し、1912年にローマ国立近代美術館に購入されました。若年期を表す若く美しい女が幼少期の女の子供を抱き、その背後に老年期となる醜く老いた老婆が配されています。幼児と若い女は目を閉じ穏やかな表情を浮かべて、装飾的で華やかな色使いの空間に包まれ、春を象徴する花で飾られています。一方の老婆はうなだれて、腹が突き出て胸が垂れ下り、腕には血管が浮き出して、顔を長い髪と手で覆っています。幼年期と若年期の輝く若さと純潔性、未来への喜びに満ちた姿とは対照的に、老年期の老婆の姿は観る者に否が応にも人生の終着点である「死」を予感させます。老婆の姿は、クリムトも尊敬の念を抱いていた19世紀最大の彫刻家オーギュスト・ロダンの「昔は美しかった兜鍛冶の女(老いた娼婦)」に着想を得たものです。人物を取り巻く豪奢な背景表現も見事ですが、画面上部の黒色で表現された部分は、金色による華麗で装飾的な表現から離れたクリムト晩年の作風を予期させるもので、重要視されています。
制作年
1905年
素材/技法
油絵
制作場所
オーストリア