水蛇Ⅰ

Water Serpents I

グスタフ・クリムト

作品解説
「水蛇Ⅰ」は羊皮紙にミクストメディアによって描かれた作品です。多くの油彩作品を残したクリムトにおいては、珍しい手法の作品と言えます。画題はクリムトが初期から取り組んできた「女性の官能美」であり、同系統の作品の中でも同性愛的傾向が顕著に示された最秀作として広く知られています。水中で一体化するようにゆらゆらと抱き合う2人の女性を中心に、文様のような鱗が特徴的な水蛇、巨大な頭部を持つ古代的な魚と金色の水草、様式化された蛸の足などが描き込まれ、官能的で退廃的な印象を強く与えます。平面的に様式化された文様的な描写、単純化した形状による象徴的表現は、移行期間にあった当時のクリムトの様式の、極めて高い完成形を言えるでしょう。
制作年
1904年-1907年
素材/技法
羊皮紙へのミクストメディア(水彩絵の具、テンペラ、金の葉に対する貼り絵)
制作場所
オーストリア
所蔵美術館