旭日鳳凰図

伊藤若冲

作品解説
「旭日鳳凰図」は、文字通り燃える旭日のような鮮やかな茜色が印象的な作品です。一対の鳳凰が浜に孤立する奇岩に佇む様を描き、海面の遙か彼方には雲の峰をかきわけて、朝日がまさに昇らんとしています。圧倒的なインパクトとどこか異様な迫力を持つ絵です。鳳凰とは孔雀にも似た伝説上の鳥で、聖徳ある天子の現れる兆しとされた瑞鳥です。高貴な存在として多くの作品の画題ともなっていますが、若冲の描くこの絵の鳳凰は、表情もその肢体も写実とも幻想とも言い難い独特の表現。旭日と鳳凰という格式ある古くからの吉祥図様が、若冲ならではとしか言いようのない独創的な図として迫ってきます。この時期の若冲は、家督を譲って隠居し画家として独立したばかりの頃。若冲のこれからを予感させる一幅です。
制作年
1755年
素材/技法
一幅 絹本着色
制作場所
日本
所蔵美術館
    宮内庁三の丸尚蔵館
ジャンル