花丸図

Various Flowers

伊藤若冲

作品解説
「こんぴらさん」として親しまれる香川県琴平町の金刀比羅宮、その奥書院上段の間に施した障壁画が、この「花丸図」です。1764年に依頼され、若冲は上段の間に「花丸図」、二の間に「山水図」、三の間に「杜若図」、広間に「垂柳図」を描きましたが、年を経るにつれ損傷が進み、80年後の1844年に「花丸図」だけを残して他の絵は撤去されることとなりました。上段の間に入り手前の襖を閉じると、四周を取り囲む壁面すべてが色鮮やかに蠢く花に覆われます。その数201点。紫陽花、百合、立葵、蓮、鉄線、牡丹、菊、水仙と実に多様なバリエーションが、少しずつ姿を変えながら反復して描かれます。花の周囲を埋めるのはまばゆいほどの金砂子。豪華絢爛で花の存在感に圧倒されてしまいそうです。落款や印章は伴わないものの、若冲特有の表現が随所に顔を出し、真筆に疑いの余地なし、とされています。蓮の葉に開いた覗き穴のような虫食い穴やしみのある表現に、若冲の対象に向ける熱い凝視やありのままの姿への愛しみが感じられ、深い感慨を誘います。
制作年
1764年
素材/技法
紙本着色金砂子撒
制作場所
日本
所蔵美術館
    金刀比羅宮
ジャンル