猿猴捕月図

伊藤若冲

作品解説
ネットで「可愛すぎる」と大評判になった絵。長く手を伸ばしてぷらんとぶら下がったサルのそのまた手の先に、もっと小さなサルがまた同じポーズ。丸い顔の中心部にきゅっと集まった目鼻は、筆先をちょん、ちょん、と下ろしただけのような得も言われぬ可愛らしさがあります。「江戸時代のリラックマ」との評価もさもありなん、のとぼけた表情です。この画題、実は「猿猴捕月-えんこうつきをとる」と言って、「身のほどをわきまえず能力以上のことを試みて失敗すること」をたとえた、禅の問答にも似た深い意味の故事成語です。多くの画家たちが絵にし、また装剣小道具の意匠としてもよく使われたものです。しかし若冲が絵に変えたこの猿猴捕月の可愛らしさはまた格別。見れば見るほど、顔が緩んでしまいますね。
制作年
1770年
素材/技法
不明
制作場所
日本
ジャンル